phaの日記

パーティーは終わった

めんどくさいと割引率



 「めんどくさい」について考えるぞのつづきです。

2006年02月14日 another 『そういや昔山形浩生が「ためらいとかを織り込んだ経済学」の話をしていたなぁ。確か。』

 なんかありましたねそういうの。どんなんだっけ。何に載ってたんだっけ。
 それと同じ話だったかもしれないけど、山形浩生がどっかで割引率という概念ですごくいろんなことが説明できるのだっていうことを言ってた覚えがあります。かなりうろ覚えなんだけど。
 割引率というのは何かというと、今100万円もらうのと1年後に100万円もらうのとどちらか選べと言われたら、普通は今もらうほうを選ぶ。1年後にもらう場合には次のようなデメリットがあるからだ。

  • インフレとか起こるかもしれない
  • 1年後相手が約束を守らないかもしれない
  • 戦争とか起こったらわややがな
  • 自分が一年以内に死ぬかも(><)
  • 要するに何が起こるかわからない

 だから、今の100万円と一年後の100万円は価値が違う。何が起こるかわからないという分、一年後の100万円は現在の100万円より価値を割り引いて考えなけりゃいけない。これが割引率。
 1年間の定期預金で利子が5%つくという場合、これは割引率が5%だということを意味する(もちろんすごく単純なモデルとして)。現在の100万円と1年後の105万円が同じくらいの価値だろって言ってるわけ。


 それで、「めんどくさい」というのも割引率とか関係あるのかな。ひょっとして山形浩生がそういうことも書いてたっけ。
 つまり今歯医者に行く面倒さと1年後に虫歯がひどいことになるのを比べた場合、1年後のデメリットは割り引いて考えなければいけないこと?

  • 虫歯が進行しないかもしれない
    • 虫歯が勝手に治るかもしれない
  • 1年後までに虫歯のすごい治療薬が現れるかもしれない
  • 1年後までに自分が死んでるかもしれない

 そもそもこの割り引き方が自分勝手な妄想に基づいてたりしてるからだめなんだけど。まあ死んじゃったら勝ちだけど(何に?)(虫歯に)。


 そういう自分勝手な妄想を抜きにしても、人は現在の価値と未来の価値を比べるのが苦手。さらに数値化できないものを比較するのも苦手。さらにさらに自分勝手な妄想で自分に都合のいい甘い読みばかりしてしまう。それが人間の判断力か。


 人間の認識力の基本というのは、文明以前の、ジェットエンジンもコンピュータも割引率も複利計算も未だ存在しない、数年スパンでの計画を立てる必要なんてない、動物だった頃とか原始人だったころに培われているから、割引率とかそういうのがうまく判断できないのかしら。ジェット機みたいな鉄の塊が空を飛ぶことにどうも割り切れないものを感じるのはそういう理由じゃないかと思ってるんだけど、割引率をうまく判断できなかったり複利が実感以上に増えていくように思えたりするのもそういうことなんじゃないか(そういうことだからおもしろい)。