phaの日記

毎日寝て暮らしたい

荻野はコンテンツとしてとても面白かった



死滅病棟: ネットカフェ難民にもなれなかった男の末路archive
社会復帰支援の名を借りたいじめ - takの備忘録ついでに日記

元々「なんか面白そうな奴がいるからみんなが興味を持った。面白いから家に住ませてみた、しかし予想以上に駄目な奴でいろんなトラブルがあった」という風に面白半分でいろんな人が関わったというのが基本ラインの話なので「偽善」とかいう批判自体が的外れだなあと思った。そもそも「社会復帰支援の名を借り」た人間なんて一人もいなかった。まあ確かに目の前にすごく困っている人がいたらちょっと助けてあげたいという気持ちは少しはあったと思うけれど自分の経済力や精神力を大幅に削ってまで別に好きでもないし信用もできない人間を助ける気にはならないものだし僕の倫理観では別にそれはならなくていいものだと思う。外で会ってたまに飯を食わせるくらいだったらいいけど何か盗んで逃げそうな奴を家に住ませたくはない。

糸柳家を追い出されたあと荻野は僕の住んでるギークハウスに住みたそうにしていたのだけど僕に向かってハッキリと「住みたいです」とか言うのではなく他の人に「これからどうするの?」と聞かれて「phaの家に行く」とかすぐ側にいる僕の目を全く見ずに答える(もちろん僕は何も聞いていない)とかいう態度でイラッと来たりしたのもあるんだけどまあそれくらいの失礼さは荻野だから仕方ないと思うとそんなにむかつきはしないんだがそもそもあいつが僕の家に来たいというのも僕がニートで無職だから仲間意識を持っているとか僕がニートというポジショントーク的に他の人に比べてあんまり強く「働け」とか荻野に言わなかったとかあまりキツく当たらなかったからで要するにあんまりうるさいことを言わないから与し易いと見られていただけであってそれでもせめて「頑張って家を探すので一週間だけ住ませてください」とかだったらまだ考えなくもなかったのだけど荻野は糸柳家に住んでいる間も一ヶ月の間に仕事と住む場所を見つけるという話だったのにその一ヶ月間も家でだらだらとYouTubeとWikipediaを見続けているだけで誰かが「仕事を探そうぜ」というと「わかった」といって探すふりをするのだけど全くやる気の無い感じですぐやめてしまいそんな風にしているうちに何もせずに一ヶ月が過ぎたという経緯だったのでもし僕の家に住ませてやったとしても次に行くあてを探す気もなくとにかく追い出されるまで居座り家の人に迷惑をかけるだけだろうということが目に見えたので断った。新宿歌舞伎町の路上で「住ませるのはできないので住むところは自分でなんとかしろ、でもなんかあったら誰かが相談に乗らんでもないから連絡が取れるように買ってもらった携帯はちゃんと持っとけよ」と言って別れたのが僕の見た荻野の最後だった。その後荻野は糸柳のエントリにある通りパソコンと携帯を捨て大阪に行き警察に捕まり釈放されて東京に来てまた警察に連れられていった。

荻野がもうちょっと好感が持てる人間だったりある程度の何かの能力があったりもしくは若い女の子だったりしたら誰かがもうちょっと面倒を見ていたかもしれないが、荻野にはどれも無かった。

深夜の明大前のファミレスで荻野が僕に「どうやったら犯罪を犯さずに生きていけるんでしょうか」と言ったとき、僕は「働くしかないんじゃないかな・・・」と答えたのだけど、荻野は複雑な表情をして黙り込んだ。荻野は今まで職を転々としてどこに行ってもうまくいかなくて何だかわからないけどいつも怒られて自分がどこかでうまく何かをやっていけるというビジョンがもう全く描けなくなっていて自分から何も動く気がせずひたすらネットで現実逃避をするだけの人間になっていた。しかも周りの人が何かを言ってもそれを聞き入れる心の素直さもなく周りの誰のことも信用していなかった。状況は追いつめられているのに何も動こうとせず手持ちの金や信用を食いつぶしながらただ何かの終わりを待っているだけだった。公的機関、病院、NPO、寺、親族、友人など何か荻野が生きて行く頼りになるものがないのかと探したが受け入れてくれそうなものはなかったし、そもそも本人に生活を立て直していこうという気が全くないし周りの人間が動こうにも本人が周りの人間のことも信用せずまともな会話をしようとしないのでどうしようもなく、結局死ぬか刑務所に行くくらいしか選択肢は残っていなかった。

最初「マック難民がいる」とyuisekiが言っていた時点では「なんとかならんかなー」と思っていたけど実際関わってみると予想以上にどうしようもない奴でそれでも何とか声をかけて集まった中に糸柳という特別優しい人間がいたおかげでかなり面倒を見たけれどでもやっぱりどうにもならなかったというだけの話だ。ネットは荻野を救えなかった。

本当にどうにもならない人間はどうにもならないんだなー、社会の受け皿なんて小さいものだしどこにも行く場所がない人間は出てくるよなー、結局僕はいろんな人間を見捨てて生きていくんだなー、あと荻野が本当にくだらない言動を繰り返していた深夜のSkypeチャットは今思うとすごく楽しかったなー、というのが僕の感想で、荻野自身については別に友達になりたいとは思わないし一緒に何かをやりたいとも思わないしまあ一ヶ月にいっぺん会うくらいならいいけどなーというくらいにしか思わないんだけど、この現実世界とネット上に多数転がっているコンテンツの中の一つとしては荻野という人間とそれにまつわる出来事は大変面白かった。出来のいい小説を一本読んだくらいの満足感はあった。