phaの日記

毎日寝て暮らしたい

テレビ出演など

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www.nhk.jp

10月16日(金)の20時から、Eテレの「あしたも晴れ!人生レシピ」という番組の「ゆるい生き方」という特集で、僕が取り上げられます。45分間の番組で、前半が瞑想とかしてる島田啓介さんという人で、後半分が僕です。
どんな番組になっているのかわかりませんが、毎日ゆるく猫と遊んだり散歩してるところが出ているのだと思います。今回は24時間ずっとカメラを部屋に設置したりして、かなり生活に密着されました。
最近力を入れているバンド活動についても撮ってもらいました。以下はバンド撮影の様子です。

www.youtube.com

見てね。



あと、ちきりんさん( id:Chikirin )と10年ぶりに対談をしました。

bunshun.jp

10年前の対談はこちら(→5W1Hに忠実な新聞よりも、グチャグチャな「圧縮新聞」の方が面白い理由 (1/4) - ITmedia ビジネスオンライン)。
10年前はまだ二人とも本を出したりはしていないただのはてなダイアラーだったのですが、その後長い時間が過ぎて世の中も変わり、当時と今ではブログというものの雰囲気もずいぶん変わってしまいました。
ちきりんさんは本を出してもブログをこまめに更新しているのがすごいと思う。僕はわりと放置気味になってしまってるので……。これだけ本を出して本も売れていつつ、こんなにブログもちゃんと更新しているのってちきりんさんくらいじゃないかと思うんですよね。なぜブログを重視するのか、というちきりんシステムについての話を聞いています。10年後に残したいものは、僕は本にしたいと思っていたけど、ちきりんさんはそういうものこそブログに書きたい、と言っていて、その違いが面白かった。詳しくは本文を読んでみてください。
この対談記事は以下の文庫本の巻末に収録されたものの抜粋なので、興味を持った人は本のほうもぜひどうぞ。

近況

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ついブログの更新を忘れていた……。最近もいろいろやっていました。手短に紹介だけでも。



9月27日まで福岡で開催されている最果タヒ展オフィシャルブック『一等星の詩』に最果タヒさんについてのエッセイを書きました。通販でも買えます。12月に東京でも開催予定のようです。

shop.eplus.jp



今まであまり書いてこなかった恋愛についての小説『夜のこと』を11月に出版します。同人誌として出したものに大幅加筆したものです。SPA!に短期連載として4回だけ掲載もされました。

夜のこと

夜のこと

  • 作者:pha
  • 発売日: 2020/11/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



文学系ロックバンド「エリーツ」としてバンド活動もやっております。10月にちらっとテレビに出て、11月には文学フリマに出て、12月には念願の初ライブをする予定です。見てね。

twitter.com

www.youtube.com

バンド活動をやっています

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エリーツというバンドを始めました、という記事を書いたのは去年の10月のことなのですが、

pha.hateblo.jp

その後も順調にバンド活動を続けております。
バンド活動について、Fun Pay!というサイトで書いてみたのでよかったら読んでみてください。

card-media.money.rakuten.co.jp

また、エリーツとして初めてのミニアルバム『おやすみマイエンジェル』と同人誌『ELITES Vol.1』を作りました。そのリリースを記念して、6月27日(土)にオンラインイベントを行おうと思います。

bookandbeer.com

小説の書き方や音楽の作り方の話をしたりするので、そういうのに興味がある方はぜひ。
ミニアルバムと同人誌とステッカーを送料無料でゲットできるチャンスでもあります。

バンドのnoteにさらに詳しくいろいろ書きました。

note.com

本当は今年は5月に文学フリマに出て、6月にライブをやる予定だったんですよね。コロナ禍さえなければ……。
ライブ、いつになったらできる状況になるんでしょうか。やっぱ人生で一度くらいはステージに立ってサンキューとか言ってみたい。
先行きが見えない状況ですが、今のところはオンラインで活動できる範囲でやっていこうと思います。YouTubeとか。サンキュー。

www.youtube.com

誰にも読まれなくても文章を書く

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もう20年くらい、ずっと文章を書いている。最初は趣味で、ウェブ上の日記に思ったことを書いたりしていただけで、読むのは知り合いくらいだったのだけど、いつの間にか顔も知らない人に読まれることが増えて、書くことでお金をもらうようにもなった。
だけど、文章を誰かに褒められたり、文章でお金をもらえたりするとうれしいのはうれしいけれど、それはあくまで二次的なものだという意識がある。
僕が文章を書くのは自分のためだ。自分が何かを考えたいから書くし、自分が何かに納得したいから書く。書かないといつまでも同じところを堂々巡りしてしまうけれど、書くと思考や人生が前に進むような気がする。
生物というものが食べ物を摂取して排泄するように、自分にとって何かを読んで何かを書くことは、生きることと一体化しているような感じがある。
いや、もっと大きい理由は、書くことに圧倒的な快楽があるからだ。どんな快楽よりも文章を書くことが一番楽しいと思っている。世界を自分なりのやり方で工夫して言語に落とし込むこと。そのやり方を考える過程や、納得のいくかたちで書きあがったときの達成感が、一番好きだ。
それに比べれば、褒められることなんかはどうでもいい。書き上がるまでの過程が一番好きなので、書き上がったあとはその文章に興味をなくしてしまう。

最近、春日武彦『鬱屈精神科医、占いにすがる』という本を読んだ。
これは精神科医の春日先生が、六十を過ぎたくらいの年齢でどうしようもなく塞ぎ込んで鬱屈としてしまい、それを解消しようと精神科医的にはタブーでもありそうな占い師に助けを求めたり、精神科医と占い師の類似点や違いを考察したりしながら、ひたすら自分の内面を鬱々と掘り下げたりするという本で、私小説のようなエッセイのような変な本なのだけど、とても面白かった。
春日先生のような聡明な人でも、六十を過ぎてもまだ母親との関係をひきずってしまうのだとか、鬱々と自分の精神の歪みと向き合い続けなければいけないのだ、とか、そういう点が興味深かった。大して事件が起こるわけでもなく、ひたすら鬱々と自分のことを書いてるだけなのになんで面白いんだろう。僕もこういうのを書きたい。
この本でもっとも共感した部分は、人生で何を一番大事だと思っているか、という話だ。

(P192)
つまり人生の中から類似と相似を見つけ出し、この混沌とした世界に自分なりの方法で独自の視点や秩序を見て取りたいのである。
そうなのだ。身も蓋もない表現をするなら、わたしにとっての生きる意味とは、自分の周囲から類似と相似とを見つけ出す営みに他ならない。
(中略)
そして他人の役に立ちたいとか、世の中をより良いものにしたいなどといった道徳的発想がまるでないところに、当方の「人間としての問題」があるのかもしれない。

鬱屈精神科医、占いにすがる

鬱屈精神科医、占いにすがる

僕もそんな感じで文章を書いていると思う。「あれはこういう風に説明できるんじゃないか」とふと思いついて、それを言葉にする、という瞬間が一番楽しい。それを読んでくれる人がいればこしたことがないが、賞賛を求めて書くわけじゃない。自分の気持ちよさのためだけに書いている。「面白いですね」と褒められても、「まあそれはそうでしょ、それは僕が面白いんじゃなくて世界が面白いんだから、当たり前」と思っていたりする。
それは、他人による評価を基準にして行動する人には、あまり理解できない行動なのかもしれない。そんなことやって何が面白いんだ、もっと人の役に立つことをやれ、と言われるかもしれないけれど、自分にとってはそれくらいしか面白いと感じるものがないのだ。

コンプレックスをテーマにして書かれた最果タヒさんのエッセイ集、『コンプレックス・プリズム』で書かれていた「賢さ」の話にも共感した。

(P100)
賢さは常に自分を心地よく楽しませるものでしかないと、賢い人は知っているのではないか、賢さそのものが魅力として映るとき、その人はその人のためにしかそこにいない気がする。結果としてたとえ世界を大きく変えることになったとしても、その人の閃きを最前線で感じ取って、その鮮やかさに心底痺れているのはその人自身であるはずだ。

コンプレックス・プリズム

コンプレックス・プリズム

  • 作者:最果 タヒ
  • 発売日: 2020/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ここでいう「賢さ」とか「閃き」はドラッグみたいなものだ。本人はただ気持ちいいからやってるだけで、だけどドラッグと違うのは、その閃きに痺れている様子が、他人にも感銘を与えるということだ(あと、たまに世の中の役に立ったりすることがあるかもしれない)。
僕が文章を書くのも同じような感じで、そんなに人の役に立つためにやろうと思っていないし、お金を稼ごうと思ってやっているのでもない。なんか結果的に人に読まれたりお金をもらえたりするようになっているけれど、今でもそのことは変な感じがする。自分は自分のために文章を書いているだけなのに、なぜそれが仕事になっているんだろう。僕の文章をビジネスに落とし込んでくれる編集者の人がすごいのかもしれない。
この先どうなるかわからないけれど、お金がもらえてももらえなくても、自分は生きているかぎり文章を書いていくと思う。


関連エントリ

書くことについて

pha.hateblo.jp

猫と一体化している

tayoriniという介護がテーマのメディアに取材していただきました。

kaigo.homes.co.jp

老後の見通しのこととかを話しています。まああまり何も考えてないんですが。

インタビューの中で、

部屋に一人でいて猫をずっと撫でていると、自分と猫の境界線が分からなくなってきますね。猫が自我の延長で、自分の一部のような気がしてきます。

ということを話していますが、どんな感じかというと、下の写真のような感じです。

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一人で部屋にこもって誰とも話さずにずっと猫を撫でつづけていると、だんだん自分が猫を撫でているのか自分が猫に撫でられているのか、境界線がよくわからなくなってきます。どこか遠くへ行きたい。


どこでもいいからどこかへ行きたい (幻冬舎文庫)

どこでもいいからどこかへ行きたい (幻冬舎文庫)

  • 作者:pha
  • 発売日: 2020/02/06
  • メディア: 文庫

近況

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ようやく暖かくなってきましたね。
冬はいつも何もかもがどうもこうもならないんだけど、ようやく一息つけるようになってきた。体が動くようになってきた。一日に二つ以上の用事をこなせるようになってきた。今年もなんとか生き延びたな。


と思ったら急にツイッターが凍結されてしまった。何も変なツイートとかしてないのに。半年ぶり2回目。

pha.hateblo.jp

前の凍結よりは軽い処置っぽくて、復活するためにはSMSで認証コードを受け取れ、って出るのだけど、何回やっても認証コードが送られてこない。番号は合ってるのに。どこから問い合わせたらいいかもわからない。まあ復活はできると思うのだけど……。
とりあえず復活するまでは、バンドのツイッターやインスタなどでつぶやいている予定です。
twitter.com
www.instagram.com


あと、ウートピでジェーン・スーさんとの対談が公開されています。第1回は40代のインターネット語りみたいな感じで、第2回ではがんばることやうまく行くことの居心地の悪さについてなど、第3回では恋愛やシェアハウスの話をする予定です。よかったら読んでみてください。
wotopi.jp
wotopi.jp

3月1日(日)pha×佐藤文香 @枡野書店

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note.com

俳人の佐藤文香と、二人で本を売る会をします。
僕の短歌をまとめるのは初めてなので結構レアです。
気軽に見に来てください。


◯日時
3/1(日)13時〜18時

◯場所
枡野書店 (南阿佐ヶ谷)
東京都杉並区成田東5丁目35−7
https://twitter.com/masunobooks

◯販売するもの
★「phaの短歌(佐藤文香選)」100円
何か他のものをお買い上げくださった方にはプレゼントいたします。

→ダウンロード販売始めました。

pha.booth.pm



pha
・新刊『どこでもいいからどこかへ行きたい』(幻冬舎文庫)
・『がんばらない練習』(幻冬舎)
・『夜のこと』『夜のこと2』
他、既刊の書籍を持っていきます。

佐藤
・「guca paper 2019」
・「翻車魚」創刊号・2号・3号
その他家にある本を何冊か持っていきます。フリマ的に。



news.livedoor.com
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イベントのお知らせ

下北沢のB&Bで2月6日(木)と2月10日(月)にトークイベントを、南阿佐ケ谷の枡野書店で1月22日(水)に本を売ったりします。あと2月6日に『どこでもいいからどこかへ行きたい』という文庫が発売になります。

2月10日(月)「作家の知の整理術」@下北沢B&B

2月10日(月)のイベントは、普段エリーツというバンドを一緒にやっている滝本竜彦さんと佐藤友哉さんと3人で、「作家の知の整理術」というタイトルでいろいろ話します。

bookandbeer.com

バンドはみんな初心者なので知識が少ないんですが、滝本さんがいつもすごく勉強をしてきて「このコード進行は強い」とか「レコーディングはこうやればいい」とかみんなに教えてくれるんですよね。
それで、滝本さんが分厚いコード理論の本を持ってきて、
「佐藤さん、これ読んで勉強して」
とか言うんだけど、佐藤さんは
「えー、俺勉強嫌いー。自分の感性で弾きたいー」
とか言って読まないんですよね。
そういうスタンスの違いがすごく面白かったので、勉強法などについて二人に聞いてみたいと思いました。
僕は勉強は好きなほうなんですが、修行のような勉強の仕方をする滝本さんとは違って、楽しくできる勉強しかしないので、また違った感じだと思います。
そんな、3人で、情報のインプットやアウトプットの仕方について語る予定です。文章を書いたり知的作業をする人に参考になる話をしたいと思います。
質問を事前にこちらで受け付けています。

docs.google.com

あと参加してくれた人には、3人で作った当日限定の書き下ろしペーパーを配布する予定です。来てね。
普段のバンド活動の様子はYouTubeに上げています。

www.youtube.com

2月6日(木)「働きたくないし21世紀だし同人誌でもつくろうぜ」@下北沢B&B

2月6日のイベントでは、『同人誌をつくったら人生変わった件について。』を刊行した川崎昌平さんと、同人誌の話をする予定です。

bookandbeer.com

川崎さんのマンガは以前から好きだったんですよね。『重版未定』をはじめとして、何冊も買って読んでいました。

dotplace.jp

川崎さんは商業で本を出すと同時に、コミティアなどにも精力的に出て同人誌を頻繁に出しているんですよね。さらに本業は編集者らしいのですが、エネルギーがありすぎる。
『同人誌をつくったら人生変わった件について。』は、仕事にも人生にもなんとなくつまらなさを感じていた普通の会社員の主人公が、同人誌を出すことで仕事も趣味も生き生きと楽しめるようになる話です。

僕自身、去年一番楽しかったことは同人誌を作って文学フリマで売ったことでした。
なんというか、同人誌って何を書いてもどんなに薄くてもいいのが良くて、そういう同人誌が集まる即売会はすごく楽しくて、そして自分もなんでもいいから作って売ってみることで即売会はより楽しめるようになる、という感じでした。今年の5月の文学フリマも出る予定です。
イベントでは、僕と川崎さんでそういう同人誌の魅力について語ろうと思います。僕が作った同人誌も持っていきます。
当日参加してくれた人用にも何か書き下ろしを配ろうと思っています。イベントのときはなんでもいいから新刊があったほうが絶対楽しい、というのが僕が同人誌即売会で学んだことなので。

2月6日(木)『どこでもいいからどこかへ行きたい』(幻冬舎文庫)発売

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2月6日には幻冬舎文庫から『どこでもいいからどこかへ行きたい』が発売になります。ちょっと長いタイトルなので略称は「どこどこ」にしたい。

どこでもいいからどこかへ行きたい (幻冬舎文庫)

どこでもいいからどこかへ行きたい (幻冬舎文庫)

  • 作者:pha
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2020/02/06
  • メディア: 文庫

単行本の『ひきこもらない』のタイトルを変えたものなのですが、構成が大幅に変わって、文庫版あとがきを多めに9ページ分書いており(御殿場のサウナに行った話を書いています)、あと紙版のみですが、漫画家の渡辺ペコさんの8ページ分の解説も付いています。よかったらチェックしてみてください。

1月22日(水)一箱古本市@南阿佐ケ谷・枡野書店

1月22日(水)の13時〜18時まで、南阿佐ヶ谷の枡野書店で一箱古本市を開催します。
出店者はpha、枡野浩一、太田明日香、佐々木ののか、小野美由紀の5人で、各人が自分の本とかZINEとか古本とかその他いろいろなものを売る予定です。
平日昼間なので、人が少なめでのんびりやっていると思うので、よかったら遊びにきてください。

以上、ばたばたとお知らせでした。お時間がある方はお会いしましょうー。

パソコンに貼りまくったステッカーをはがしたら画面がおかしくなった

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昔はノートパソコンの背中一面にステッカーを貼っているのがストリート感があってカッコイイと思ってベタベタ貼りまくっていたのだけど、最近ふと、実はこれあまりカッコよくないのでは、と思い始めて、年末だし全部はがそう、と思ってシールはがしのスプレーをかけまくったんですよね。

そうしたらステッカーは全部はがれたんだけど、それと同時にパソコンの液晶がなんか泡だらけになってしまった。

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スプレーの成分が中に入り込んでしまったのだろうか。泡って書いたけど、泡というより液体っぽいかも。画面を指で押すと少し動くので、泡と泡をつなげて遊んだりできます。
ほっておいたら直らないかな、と思ったけど、一週間くらい経っても変化がない。むしろ泡が増えているかもしれない。

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ゲームをやってると意外と気にならないのでゲームは遊び続けているのだけど(oxygen not included)。どうしようかな……。

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面白かった本2019

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毎年まとめているこのコーナー。

面白かった本2018 - phaの日記
面白かった本2017 - phaの日記
面白かった本2016 - phaの日記
面白かった本2015 - phaの日記
面白かった本2014 - phaの日記

2019年もいろいろ本を読みました。大体本読むくらいしか趣味があまりないんだよな。今年は引っ越しをしたら、新しく住み始めた街が本屋が充実していたので、ついつい本を買っちゃうことが多かった一年でした。
まずはこの本から。

濱野ちひろ『聖なるズー』

聖なるズー

聖なるズー

開高健ノンフィクション賞を受賞。動物とセックスをする「ズー」の人の団体が世界で唯一ドイツにあって、その団体の人に取材をしたノンフィクション。著者はDVを受けていたことがあって、性的関係についていろんな視点から研究したいと思って、このテーマを選んだそうだ。
人と動物のセックス、そういうのがあることはもちろん知っていたけれど、自分には関係のないものだと思っていたし、なんか気持ち悪いな、というくらいに思っていた。
だけどこの本を読むと、自分はしないけれど、そういうのもありなんじゃないか、という気持ちになった。動物とのセックスがこんなにアクチュアルな問題だとは思わなかった。
ズーの人は動物のことをパートナーと呼ぶ。パートナーになるのは大体が犬で、その次に馬だ(猫は小さすぎてサイズ的に無理)。ズーの人は、決して動物虐待にならないように非常に気を遣っていて、「パートナーがしたいときにしかしない」と言う。犬をパートナーにしてるけれど、相手がしたがらないのでしたことはない、という人もいる。みんなセックスのことばかり気にするけど、本質は相手とどういう関係性を持つかということで、セックスはその一部に過ぎない。
僕も猫を飼っているので、動物との間に精神的な結びつきができるということはわかる。そして、精神的な強い結びつきがあるなら、それがセックスに発展してもおかしくないのかもしれない。ほとんどのセックスが生殖のために行われるわけじゃなく、愛着や愛情を示すために行われているということはみんな知っているとおりだし。
そもそもペットの性というのは、大体今の社会では去勢や避妊をすることで「なかったこと」にして、性を持たない「子ども」としてかわいがっている。だけどそれはすごく野蛮なことじゃないか。動物のありのままを受け入れたいと思うなら、性も含めてケアするべきなんじゃないのだろうか。
動物とのセックスについて「本当にそれは同意があるのか」「本当にそれは対等な関係なのか」などという疑問についても著者は慎重に取材をしていくのだけど、そこを掘り下げていくと、人間同士のセックスだって、本当に同意があるのか、本当に対等な関係なのか、ということはあやふやなことが多いということに気付かされる。
100年後くらいは動物やロボットをパートナーとするのが普通になっていたりするかもしれない、という気持ちにさせられる本だった。
ズーの悲しみとしては、犬は人間よりも寿命が短いので、パートナーが絶対に早く自分よりも死んでしまう、ということがあるらしい。だけどそれは逆に言えば、赤ん坊の頃から老衰して死ぬまで、パートナーの生を最初から最後まで丸ごと受け止められるという良さもある、という話もあって、それってファンタジーとかで永遠の生を持つ者が人間に対して思うやつと同じだ……と思った。異種間の愛って別にファンタジーじゃなく身近にあった。

稲田俊輔『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』

エリックサウスなどの飲食店を経営している稲田さんが、サイゼリヤとか松屋とかマクドナルドの「このメニューがプロから見ても美味い」という話を熱く語っている本。

inadashunsuke.blog.fc2.com

もともとはこのブログがすごくバズって、そこから書籍化の話が来たらしい。
「デニーズのデリーチキンカレーのこだわりはすごい」とか「マクドナルドの肉はパサパサなのではなく本場的な固く焼きしめる方向性だから」とか「バーミヤンの本格中華的なこだわり部分」とか知らなかった知識をいろいろ教えてくれて、実用的にも役に立つ。『めしばな刑事タチバナ』が好きな人は絶対好きなやつだと思う。
エリックサウスマサラダイナーのモダンインディアンコースは在華坊さんがすごく勧めていたので一度行ったけどとてもよかったです。

スズキナオ『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』

人があまり注目しないような地味な場所を淡々とレポートするみたいな話が多くて面白かった。 「チャンスがなければ降りないかもしれない駅で降りてみる」とか「としまえんに行ったけど入れなかった人のために」とか、何もないような町をぶらぶらする話が特に好き。
roujin.pico2culture.jp

雨宮まみ『東京を生きる』

又吉直樹『東京百景』

東京を生きる

東京を生きる

東京百景 (ヨシモトブックス)

東京百景 (ヨシモトブックス)

SUUMOタウンをまとめた書籍『わたしの好きな街 独断と偏愛の東京』に何か書き下ろしを書きませんかという依頼があって、東京について何か書くぞ、と思ったときに、参考に読み返した二冊。
雨宮まみ『東京を生きる』は良いんだけど、東京に対する思い入れが強すぎてちょっと怖くもある。帯の穂村弘の「東京に発情している」という言葉がぴったりだ。僕は東京は好きだけど、ここまで激しい感情はないな。過剰な何かを持て余している人が文章を書くし、過剰な何かを持て余している人が東京に出てくる。読んでいるとそんな気持ちになる本だ。
本の中ではうまくいかない恋愛についてもしばしば語られるのだけど、この本の中では東京と恋愛はほとんど同じものだ。それはどちらも、どうしても惹き付けられてしまうけど、本当はそこには何もないかもしれなくて、決して手に入らないもの、だ。どこにもないものを追い求める人がやってくる街、東京。自分にも思い当たる部分は多々ある。
又吉直樹『東京百景』は、東京のいろんな場所の思い出を百個並べた本。大体全部短くて、しかも長さがバラバラなのがいい。1ページのものもあれば8ページのものもある、というような。18か19で芸人になろうと思って上京したけれどまだ何者でもない頃の焦り、みたいな日々のことも多く書かれていて良い。装丁もよくて持っておきたくなる一冊。
雨宮さんも又吉さんも10代の頃に上京しているから東京への思いがエモくなる、というのはあるかも。僕が上京したのは28のときだったから、そこまでひりひりした感じではないんだよな。

わたしの好きな街

わたしの好きな街

  • 発売日: 2019/12/12
  • メディア: 単行本

山下泰平『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』

kotoriko先生の著書。タイトルは長すぎてふざけてるけど中身はかなりちゃんと作られた本。
明治時代に庶民のあいだで圧倒的に人気だったけれど今では完全に忘れられてしまった講談速記本などの明治娯楽物語について紹介したもの。別に明治時代の人がみんな鷗外や漱石などを読んでいたわけじゃなく、僕らが普段くだらないマンガやアニメを見て笑っているように、明治の人もバカバカしい娯楽物語を読んで笑っていたのだ。
弥次喜多が大砲の弾に乗って宇宙旅行をするとか、身長と肩幅と奥行きが同じ長さという豆腐のような体をした豪傑が人をバッタバッタと倒しまくるとか、そんなバカバカしいけれど痛快な話がたくさん紹介されているのだけど、言ってみればONE PIECEとかだってそんなようなものだ。
現代のエンターテイメントで使われている技法やキャラのルーツも結構このへんにあったりするようだけれど、現代では明治娯楽物語というのは完全に忘れられていて、評価される前の浮世絵みたいな状態らしい(浮世絵というのは今でこそ芸術として扱われているけれど昔の日本では全然大事にされてなくて食器の包装紙とかに使われていて、それが海外で芸術として評価されたあと、評価が逆輸入されて日本でも大事にされるようになった)。
バカバカしい豪傑たちの話とともに、明治娯楽物語というジャンルの背景や変遷や影響もしっかり論じられている労作。

三宅香帆『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』

文芸オタクの私が教える バズる文章教室 (サンクチュアリ出版)

文芸オタクの私が教える バズる文章教室 (サンクチュアリ出版)

  • 作者:三宅香帆
  • 発売日: 2019/06/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ブロガー的なバズ狙いというよりは普通に文芸的に良い文が多く、なんとなく良いなっていうだけで終わらせてしまいそうな文章の良さが予備校教師並みの解説力でわかりやすく言語化されて分析されていて良かった。
文芸的な観点からもよいのだけど、実用書・ビジネス書としてもよく作り込まれていて楽しめた。
僕は文芸的な文も好きだけど、よくできたビジネス書的なのもわりと好きで、だからたまに自分でもそういうのを書いたりする(『しないことリスト』とか『知の整理術』とか)。自分はビジネス書的なのがそれなりに好きで書くこともできてよかったな、と思う。文芸方面だけやってたらどんなに名文書きでもあまり食えないから……。

赤松利市『ボダ子』

ボダ子

ボダ子

  • 作者:赤松利市
  • 発売日: 2019/04/19
  • メディア: 単行本

著者の破滅的な人生を書いた私小説で、震災の東北周りを舞台にした話。著者は「62歳、住所不定、無職」でネットカフェで小説を書いていて作家デビューした、というので話題になっていた。
タイトルになっているけどそんなに境界性人格障害の娘のボダ子の話は多くなくて、主人公のおっさんの話がメイン。
主人公もろくでもないし、他の登場人物も嫌なやつばかりでよい。主人公はろくでもないのだけど、西村賢太のように直接人にキレたりはせず、強い人間の横暴さにはわりとされるがままで、だけど自分よりも弱いものには強く当たる、というだめさをそのまま書いているのがいい。
ひどいことばかり起こる話なんだけど、みんなクズだからしかたない、という感じでそれほど湿っぽくならず、人間はどうしようもないな、という気持ちになる。

滝本竜彦『ライト・ノベル』

ライト・ノベル

ライト・ノベル

不登校の僕の周りにいろんな不思議な美少女が現れていろんなことが起こる、というような話なのだけど、よくあるラノベ的な話ではない。内容としては、はっきりしたストーリーがなく、主人公が何をしたいのかもあまりわからなくて、小説としてはアンバランスさを感じるのだけど、なぜか読んでて面白い。ところどころに主人公が神秘体験をするようなシーンがあるのだけど、その描写がとてもよい。

ja.wikipedia.org

そしてこの本自体が神秘体験というか、読んだ人全員に神秘体験をさせる装置のようなところがある。人間の感性を刺激するイメージというものがいろいろあって、そのボタンを順番に押して行ったらなんだかよくわからないけど気持ちよくなってくる、みたいなのを小説でやろうとしている感じがある。
不思議な小説だし、滝本竜彦さんにしか書けない小説だ、と思った。小説って何を書いてもいいんだな、と元気が出た。

川端康成『眠れる美女』

眠れる美女 (新潮文庫)

眠れる美女 (新潮文庫)

  • 作者:康成, 川端
  • 発売日: 1967/11/28
  • メディア: ペーパーバック

眠ってる女性を買う話。三宅香帆さんの『人生を狂わす名著50』で紹介されていて、そういえば川端康成って読んだことなかったな、と思って読んだらすごかったやつ。さすがノーベル賞。すごく不穏で背徳的で危うくて良い。

山崎ナオコーラ『論理と感性は相反しない』

小説の短編集。なんとなくタイトルが気になって読んだのだけどめちゃめちゃ面白かった。自分にぴったりな読み物だ、と思った。
僕はそんなに普段小説を読む方じゃなくて、小説っぽい小説って苦手なんだけど、山崎さんの文章には普段自分が小説を読んでいてだるいと思う部分があまりない(なんだろ。例えば情景描写とか?)。何が必要で何が不必要かという感覚が自分に似ているのかもしれない。もっと読んでいきたい。続いて短編集の『手』、エッセイ集の『指先からソーダ』も読んだけどよかった。

小津夜景『カモメの日の読書』

カモメの日の読書 漢詩と暮らす

カモメの日の読書 漢詩と暮らす

  • 作者:小津夜景
  • 発売日: 2018/06/20
  • メディア: 単行本

ブックファースト新宿店で開催された「名著百選」に選んだ本。
漢詩の紹介とエッセイの組み合わせなのだけど、エッセイが異常にうまい。こういう文章を書けるようになりたい。そして、漢詩って今まで全然興味がなかったけれど、漢詩の紹介もとてもおもしろい。郷愁や友情や孤独など、昔も今も人が良いと感じるものは変わらないんだな。

穂村弘『どうして書くの?』

どうして書くの?―穂村弘対談集

どうして書くの?―穂村弘対談集

  • 作者:穂村 弘
  • 発売日: 2009/09/01
  • メディア: 単行本

書くことについていろんな書き手と話した対談集。ほむほむ、かわいいだけじゃなくて書くこととかに言葉に対する感覚の鋭さがやっぱりすごいんだよな。そして実作者でもあると同時に評論家の目も持っていて、良い文章の何が良いのかを言語で説明するのもすごく上手。
穂村弘が引用していた中井英夫の言葉で「小説は天帝に捧げる果実。一行でも腐っていてはならない」というのが良かった。執筆の動機は、読者に何かを届けようとか伝えようと思って書くのではなく、天帝(みたいなもの)のために文章をひたすら研ぎ澄ませて完成度を上げてそれを捧げること、ということ。穂村弘もそうらしいし、僕もわりとそういうタイプだ。そうは言っても全く読んでくれる人がいないと寂しいのもあるんだけど。

大森静佳『カミーユ』

カミーユ (現代歌人シリーズ22)

カミーユ (現代歌人シリーズ22)

  • 作者:大森 静佳
  • 発売日: 2018/05/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

歌集。僕が詩歌に求めているものってイメージの飛躍なんだけど、すごくなめらかかつ驚きを持ってさまざまなイメージが接続されていてよいなと思った。

天涯花ひとつ胸へと流れ来るあなたが言葉につまる真昼を

天涯花ってどんな花なのかわからないけど文字だけで喚起力がある。それが「胸へと流れ来る」って、現実ではなくイメージの話なんだろうけど、何か少しわかる気がする。そして上の句の「流れ来る」というわずかな時間の流れを含むイメージと、下の句の時間が止まった瞬間のイメージを並べて見せることで、すごく情景が広がる感じがある。

遠景、とここを呼ぶたび罅割れる言葉の崖を這うかたつむり

視点や意識をぐらぐら揺らされる感じと、その断層を接着するような粘液としてのかたつむりの対比がよい。

あなたはわたしの墓なのだから うつくしい釦をとめてよく眠ってね

「釦(ぼたん)」って漢字、□の部分が身も蓋もない象形文字な感じで好きなのだけど、「うつくしい釦」という文字の並びだけですごく気持ちいい。

ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』

フランスの学者が書いた本なのだけど、読んだと読んでないってそんなに簡単に分けられることなのか、みんな読んだつもりになって語っているだけなんじゃないか、ということがさまざまな文献を例を引きながら説得力を持って語られていて面白い。
ここに書かれているようなことは別に本じゃなくても、例えば人についても同じだろう。僕と彼がAさんという同じ人について語っていても、僕が語るAさんと彼が語るAさんは違うものだ。一体誰がAさんのことを正しく知っていると言えるだろうか。誰も正しく知ることができないまま語っているのだし、何かについて語るというのはいつだってそんなものなのだ(だから何でも好きに語ればいい)。

青井硝子『雑草で酔う』

植物による「酔い」と人格システムや社会システムを合わせて考察してるあたりが独特で奇書感がある。
青井さんは、発達障害的な感じだったせいで就職とか起業とかうまくいかなくて人生に行き詰まっているときに「酔い」を体験することで、社会に適応している人間の考え方を理解できるようになってうまくいったらしい。その体験がこの本の根幹になっている。
ホモ・サピエンスがネアンデルタール人に勝ったのは、幻覚性植物を摂取することで家族とか社会とかいった抽象的概念を理解することができたから、という説があるらしくて、その説と青井さんが社会性に目覚める体験が重ね合わせられていたりする。そういうこともあるかなとは思うが、再現率がそこまで高いかはわからないし、なかなか余人には真似できなさそうだなと思う。若いなー、僕はここまで思い入れる若さはないな、と思った。

ロマン優光『90年代サブカルの呪い』

90年代サブカルの呪い (コア新書)

90年代サブカルの呪い (コア新書)

90年代当時の鬼畜系サブカル文化を、今の視点から総括した本。いつも通りロマンさんが、あまりみんな真面目に語ろうとしないような話題について丁寧に真っ当なことを言っている感じ。僕は当時そのへんの本をよく読んでいたので面白く読んだ。

外山恒一『全共闘以後』

改訂版 全共闘以後

改訂版 全共闘以後

  • 作者:外山恒一
  • 発売日: 2018/12/16
  • メディア: 単行本

全共闘以後の左翼運動の歴史の話。そんなに左翼運動の歴史自体には興味はないんだけど、ブルーハーツとかだめ連とか素人の乱とか、政治的なものとは別の文脈で知った名前がたくさん出てきて面白かった。
才能があって人を集めるのが好きで活動する若さがある人間がいると、自然と運動というのは生まれていく(そして離合集散していく)、という様子が丁寧に描かれている。主に自分より10歳くらい上の世代の話なのだけど、自分の世代もあまり変わらないな、という印象。自分の世代も上から見たら同工異曲に見えただろう。自分が下の世代をそう見てしまうように。そうやって少しずつ時代は変化していくのだろう。

安達正勝『死刑執行人サンソン』

漫画『イノサン』の原作ということで読んでみたのだけど、あれはわりと原作に忠実だったんだな、と思った。新書だけど小説ぽい。面白かった。

トレヴァー・ノートン『世にも奇妙な人体実験の歴史』

未知の病気を解明するために自ら病原菌を注射したり寄生虫を飲んだりしてきた医者たちの歴史。グロい話が多くて良かった。調子が悪いときはそういうのを読みたくなる。

村山斉『宇宙は本当にひとつなのか』

重力とか相対性理論とか暗黒物質とか、力の統一理論を作ろうとすると多次元宇宙があると考えたほうがいい話とか、そのへんの知識、なんとなくわかったつもりでいるけれど細かいところは忘れがちなのだけど、わかりやすくいろんな知識をつなげながら教えてくれてよかった。