2024年のphaの活動のまとめです。
蟹ブックス
2023年から引き続き東京・高円寺の書店、蟹ブックスで書店員をやっています。
今は書店員が一番楽しいですね。店番をしているだけではなく、自分で本を仕入れたり、展示やイベントを企画したりもしています。
出版社から本を出す、自主制作で本を作る、文学フリマなどの即売会で本を売る、書店員として本を仕入れて売る、書店に本を卸す、などを全部シームレスにやりたい。著者・出版社・取次・書店の全てを、少しずつ。それぞれをやっている人はたくさんいるけど、全部やっている人はあまりいないんじゃないかと思う。
書店員をやりながら考えたことを綴った『蟹ブ店番日記』というZINEも作りました。
『パーティーが終わって、中年が始まる』
2024年は『パーティーが終わって、中年が始まる』を出版したことが一番大きかったですね。
予想以上に話題になって、たくさん取材を受けたり対談をしたりしました。今まで10冊くらい本を出したけど、一番反響が大きかった本だと思う(売上的には『しないことリスト』のほうが多いけど、これは逆に全くバズったり取材が来たりすることがなく、サイレントに書店で売れ続けているタイプの本なので)。
書評もいろいろ書いていただきましたが一つだけリンクを貼っておきます。
6月に出版してから、5ヶ月くらいはずっと忙しくて、10月にNHKのクローズアップ現代のミッドライフクライシス特集に出たのがピークでした。
その反動で、11月以降はやる気が全くない……。8年くらい前にハマっていた工場構築ゲーム、FactorioのDLCが出たので、11月は月200時間くらいやっていました。
その他の本
『どこでもいいからどこかへ行きたい』
『どこでもいいからどこかへ行きたい』がエキナカ書店大賞という、JRのエキナカ書店が選ぶ賞を受賞しました。
#エキナカ書店大賞 大賞発表!
— エキナカ書店大賞事務局2024 (@ekinakashoten) 2024年10月22日
受賞作は・・・
『どこでもいいからどこかへ行きたい』(pha著・幻冬舎文庫)
に決定しました!!
幻冬舎さんはなんと二連覇!
おめでとうございます!
受賞作品は
BOOK COMPASS、BOOK EXPRESS
bookstudio、Books Kiosk
にて大型展開中です! pic.twitter.com/qM7BWbRk8z
旅をしながら読むのにちょうどいい文庫本が対象の賞で、この本が出たのは2020年なのだけど、最新刊じゃなくてもエントリーできるらしい。大賞は期間内の書店での売り上げによって決まったとのこと。
高速バスや青春18きっぷでゆっくり旅をしたり、スーパー銭湯やビジネスホテルに泊まったりする、ゆるい旅エッセイなので、よかったら読んでみてください。
しかし最近はホテルの異常な値上げやデフレ文化の終焉で、ここに書いたことも既にノスタルジー的な感じになっているかもしれないけど……。
『できないことは、がんばらない』
以前出した『がんばらない練習』が、『できないことは、がんばらない』とタイトルを変えて文庫化されました。
「できることよりもできないことのほうが自分らしさを作っている」というテーマで、「会話がわからない」とか「飲み会が苦手」とか、そういう「できないこと」をたくさん集めたエッセイ集です。解説は点滅社の屋良朝哉くんに書いてもらいました。
『やる気のない読書日記』
自主制作の本としては、『やる気のない読書日記』というのを作りました。これは2021年の日記をまとめたもので、コロナ禍の記録にもなっています。
参加した本いろいろ
インタビューで寄稿や参加した本もいくつか出ました。
『こじらせ男子とお茶をする』
島田潤一郎、pha、佐々木典士、ファビアン、田中 弦、下平尾 直という、普通とは違う生き方をしている男性5人にインタビューする、というテーマの本です。十代の頃こういう本を読んできて、こういうふうに育ってきてこうなった、みたいな話をしています。
『みんなどうやって書いてるの? 10代からの文章レッスン (14歳の世渡り術)』
文章の書き方について書きました。この本はランジャタイの国崎さんの文章がすごくよかったので、それだけでも読んでほしい。
『究極の学び場 京大吉田寮』
京大吉田寮についていろんな人が語っている本です。僕は吉田寮出身ではないのですが、寮出身者として「自治寮とシェアハウス」という文章を書きました。
日記本
あと、みんなの日記サークルという、自分がファシリテーターをやった日記のワークショップから派生したサークルで、交換日記の本と旅日記の本を作りました。
kanibooks.stores.jp
kanibooks.stores.jp
イベントレポート
今年は『パーおわ』関連でトークイベントなどに出演することがかなり多かったです。動画やレポートが残っているものを貼っておきます。記録が残ってないものとしては、ネルノダイスキさん、金川晋吾さん、桜林直子さん(サクちゃん)、遠井大輔さん(透明書店)、佐々木典士さん、藤井佳之さん(なタ書)、よしたにさん(これはレポートが後から出そう)と対談しました(抜けてるのがあったらすみません…!)。
宇野常寛さん、箕輪厚介さんと
宇野さんは同い年でインターネット育ちということで、やっていることは違うけどなんか親近感を持って見ています。書き方は全然違うけど、同じようなことを書いていると感じることがあります。
箕輪さんは自分とは全然違う界隈の人だと思っていたけど、『パーおわ』に興味を持ってくれたのが意外でした。若い頃は全然違う感じで活動していた人でも、ガンガンやってた時期を終えてちょっと立ち止まるようになる中年になると、話したりするようになるのはいいですね。
吉田豪さんと
「サブカルは中年で鬱になる」という吉田豪さんの『サブカル・スーパースター鬱伝』が昔好きだった本だったので、『パーおわ』が出たのでそのつながりで。中年になると権威を持ってしまうので、軽く生きていくのが本当に難しくなるなと思います。
藤谷千明さんと
藤谷さんは同世代・インターネット育ち・シェアハウス、といろいろ共通点が多く、共感する部分が多いですね。
なんかよくわからん生き方をしている人でも生きていけるような気がしていたのがあの頃のインターネットだったし、わしらはもうそういうふうにしか生きられへんのや、という感じでこれからもやっていきたい。同世代の仲間で協力しながら。
www.gentosha.jp
www.gentosha.jp
「あの頃のインターネット」について僕と藤谷さんがそれぞれ書いた『文學界2024年10月号』も読んでほしいです。
品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)さんと
ダ・ヴィンチ・恐山さんのウロマガを以前から購読して毎日楽しみに読んでいる。
こういう若い才能のある人を見ると、もう自分たちの世代はなんもしなくてもいいよな、という気にさせられる。僕はわりと、若い世代に乗り越えられて、自分なんか時代遅れになってしまいたい、という気持ちがある。そのほうが時代が進化しているということなので。今までと違う景色が見たい。
【品田遊×pha】異色の二人が異色の対談!なぜ日記を書き続けられるのか、なぜ日付がないのか、謎に迫る|朝日新聞出版さんぽ
飯田朔くんと
飯田くんとは以前和歌山の熊野に通っていたときに一緒に床張りなどをやっていました。10歳くらい下で、あまり働かず社会に流されずにやっていくみたいなことを書いている人がいるのは頼もしいです。流れがつながっている感じがある。
短歌
去年刊行した『おやすみ短歌』(実生社)の流れで、短歌の活動がいろいろありました。NHK短歌にも出ました。
短歌作品としては
- 『ねむらない樹 vol.11』に「春休み」7首とエッセイ
- 『短歌研究5+6月号』に「伸びていく」5首
- 『胎動短歌Collective vol.5』に「なめらかさ」8首
を寄稿しました。それと、以前に作った歌を一首、左右社の短歌アンソロジー『海のうた』に収録してもらいました。
以前作ったストックがあったので今年はいろいろ出したけど、最近は短歌を作ってないので今後はあまり出ないと思う。短歌はプレイヤーではなく、外部から応援していくというのでいいかなと思っています。
あと、明治生まれの自由律短歌の歌人、小関茂の歌集が『歌集 宇宙時刻』として復刊されて発行されたので、栞に解説文のようなものを書きました。小関茂の、社会のことがよくわからず生きるのが苦手そうなところにとても共感した歌集でした。
こんなことが、こんなことが、生きていることだったんだ。こんなことが
2025年は
2025年にやりたいこと、本当に何もないな。
今は本当にやる気がなくなってしまっている。ゲームしかしていない。
前は一年に一冊くらい本を出してたけど、もう今は三年に一冊くらいしか出せないんじゃないか、と不安になる。
まあそれでもいいのかもしれないけど。
今週のお題「2024こんな年だった・2025こんな年にしたい」