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phaの日記

毎日寝て暮らしたい

この世界は作り物だった



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最近論理学の本を読んでいたんだけど、そうしたら、僕らが生きているこの世界は生の現実ではなくて現実と見分けが付かないくらい精巧なコンピュータシミュレーションの中の世界である可能性が極めて高いということが分かった。僕らはみんなコンピュータゲームの中の人工知能みたいなものだ。
現在の科学技術ではまだ人間と同じように意識を持つプログラムや世界全てをシミュレーションするようなプログラムは作れないけれど、遠い未来、もっと技術が進めば作れるようになる可能性が高い。そして、シミュレーションの中の存在は、それが現実ではなくてシミュレーションの中ということに気づくことはできない。
漫画や小説の中の人物が自分がフィクションの中の存在だと気づけないのと同じだ。

なぜ現実ではなくてシミュレーションである可能性が高いと言えるのか。喩え話で書いてみる。

・問題1


お互いに見分けのつかない袋Aと袋Bがある。
袋Aには赤い玉が100個、袋Bには青い玉が100個入っている。
あなたはどちらかの袋に手を入れて玉を一つ引いた。出てきたのは赤い玉だった。
あなたが手を入れたのはどちらの袋だったでしょうか。

この問題は簡単だろう。袋Aでしかあり得ない。これをふまえて次に進む。

・問題2


お互いに見分けのつかない袋Aと袋Bがある。
袋Aには赤い玉が95個と青い玉が5個、袋Bには青い玉が95個と赤い玉が5個入っている。
あなたはどちらかの袋に手を入れて玉を一つ引いた。出てきたのは赤い玉だった。
あなたが手を入れたのはどちらの袋だったでしょうか。

この場合、「袋Aの可能性が高い」と考えるのが自然な推論だし、確率的にも妥当だ。では次の話はどうだろうか。

・問題3


あなたは目を覚ますと森の中にいた。
どこかからこんな声が聞こえてくる。
「全人類の中からランダムに100人を選び出し、森Aの中に95人、森Bの中に5人を配置しました」
あなたがいるのはどちらの森なのだろうか。

問題2と基本的な考え方は同じだ。森Aにいる確率が高い。では次の問題はどうだろうか。

・問題4


あなたはあるときこの世界に生を受けた。だけど、自分が人間かシミュレーション内の存在であるかは分からない。
この世界には宇宙の始まりから宇宙の終わりまで全て合わせると、全部で95兆のシミュレーション内の人工知能と、5兆の本物の人間が存在することが分かっています。
あなたは人工知能と本物の人間のどちらの可能性が高いだろうか。

これも問題2と問題3と同じ構造だ。よって、自分はシミュレーション内の人工知能である可能性が高い、と考えるのが論理的に妥当だ。


遥か遠い未来、コンピュータが極めて発達して宇宙全てをシミュレーションできるようになった場合、仮想空間上に膨大な数の世界が生成されるだろう。計算能力さえあればいくらでも世界を増やせるのだから。

さらに、シミュレーションされた宇宙の中で文明が発達して宇宙がシミュレーションできるレベルまで達すれば、シミュレーション内シミュレーションや、シミュレーション内シミュレーション内シミュレーションなどが無数に作られていくことも考えられる。

そう考えると、この宇宙に生まれて意識を持つ人間は、生の人間よりもシミュレーション内の人間の方が圧倒的に数が多いことが予想されるのだ。よって問題4の推測により、自分が生きているこの世界はコンピュータシミュレーションである可能性が極めて高い。


ただ、この推論が成り立たない場合もある。それは、
A. 宇宙をシミュレーションできるくらいに文明が進む前に人類が滅びる
B. 宇宙をシミュレーションできるくらいに文明が進んでも、人類は宇宙をシミュレーションすることに興味を持たない
という場合だ。

Aの場合はあり得るのかもしれない。まあそれならそれで仕方ない。
Bはどうだろうか。人類はゲーム好きだし、やっぱりそれくらい技術が発達したらシミュレーションを作ってしまう可能性が高いと思う。政府が禁止したとしても、家庭用コンピュータでゲリラ的に作る人が出てくるとか(そもそもそんな遠い未来に政府とかコンピュータとかが今と同じようにある気はしないけれど)。


こうした考え方はシミュレーション仮説 - Wikipediaと呼ばれる。

まあシミュレーションであってもなくても自分には分からないし、シミュレーションであったとしてもその外側に出られるわけじゃない。結局自分はこの世界をあるがままに受け入れて生きるしかない。だからそれで生き方が変わるってものでもないんだけど、SF的発想としては楽しい。


このへんの考え方で一番SFっぽくてすごいなーと思ったのはオメガポイント仮説という考えだ。
遠い未来、宇宙はビッグクランチ(ビッグバンの反対でひたすら収縮する)で終わるのではないかという説がある。そのビッグクランチからは無限に近いエネルギーを引き出すことができて、そのエネルギーでコンピュータの計算能力を無限に近く速くすれば、永遠に近い時間を仮想空間上に構築できるだろう。
そしてそのシミューレションの中には、この宇宙の過去を全て再現することができる。今までに死んだ人類全てをシミューレション上で復活させることもできる。しかも単に再現するだけではなくて、過去に存在した人の人生を全て現実より幸福な状態に修正した上で復活させることもできる。この世の不幸が全て幸福に書き換えられた理想郷が出現する。それはもはや天国だ。世界の終わりに天国が降りてくるのだ。

参考にした本

論理サバイバル 議論力を鍛える108問 パラドクス・シリーズ2

論理サバイバル 議論力を鍛える108問 パラドクス・シリーズ2

ゼロからの論証

ゼロからの論証