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面白かった本2016



今年読んで面白かった本を適当に挙げていきます。

筒井康隆『ダンシング・ヴァニティ』

ダンシング・ヴァニティ (新潮文庫)

ダンシング・ヴァニティ (新潮文庫)

何か読みたいけど新しいもの読む気力がないし、でも一度読んだのをもう一度読み返すのは損な気がする、というときに、昔好きだった筒井康隆の読んでない最近の作品を読んでいた。
筒井康隆は人生で最初にハマった作家で、中2のときに『虚航船団』を読んだのをきっかけに十代の頃はどっぷり読みまくっていたのだけど、その後二十歳を過ぎた頃くらいからは読まなくなっていた。
それで最近。筒井先生ももう八十歳とかだし、さすがにエネルギー切れじゃないのか、とか思ってたのだけど、読んでみたらまだまだ全然キレキレな感じで驚いた。凄いなあ。そういえば筒井康隆の盟友的なジャズピアニスト、山下洋輔を去年見たのだけど、山下さんも74歳とかなのに相変わらずキレキレだった。じじい凄い。
筒井康隆の作品の中でも面白かったのが『ダンシング・ヴァニティ』だった。同じシーンが少しずつ変奏されながら繰り返される文章は音楽に近い。そういう実験的なことをやってるにもかかわらず読みやすくエンターテインメント感があるのはさすがとしか言えない。集大成というか代表作感があった。
昔読んだ『旅のラゴス』を読み返したりもしたけどこれもやはり良かった。

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)


テッド・チャン『あなたの人生の物語』

あなたの人生の物語

あなたの人生の物語

SF短編集。すごい評判いいから読もう、と何年も思いつつ積読してたのやっと読んだけどやっぱり良かったので表題作だけでももっと早く読んどけばよかった。
言語をテーマにしたSFはなんか好きなんですよね。その繋がりで言語学の本も読んでみようとしては読んでもあまり分からなくて挫折するのだけど。二人称(あなた)がこんなに効果的に使われているのもすごい。

米田衆介『アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか?』

アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える (こころライブラリー)

アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える (こころライブラリー)

発達障害に興味があって何冊か本を読んだりしていたのだけど、この本はその中でも説明が上手で読みやすいし書き方も今っぽい感じがあって面白かった。
アスペの人に一般社会について説明するとき「猿山原理」という説明をしているのが良かった。普通の人は猿山の猿のように、誰が誰より地位が上かというのを気にしたり、自分が上位であることを示すためにマウンティングしたりというのをいつも自然にやっているらしい。僕もあまりそういうのよく理解できないので、なるほどなーと思った。

石牟礼道子『苦海浄土』

新装版 苦海浄土 (講談社文庫)

新装版 苦海浄土 (講談社文庫)

20年前くらいから読まなきゃなと思いつつ読んでなくて、ようやく読んだ……。これももっと早く読むべきだった。
水俣病についての本。単なるノンフィクションではなく、現地在住の作者による小説や詩のような感じがあるのだけど、悲惨な光景や悲しみや怒りを書きつつも、美しい部分の描写は神話のように美しく、人間の業を全部まとめて鎮魂するような凄みがあった。

植本一子『かなわない』

かなわない

かなわない

写真家の植本一子さんの日記。夫はラッパーのECD。
基本的にノンフィクションの日記なのになんでこんなに面白いんだろう。家族について、育児のつらさ、家庭外での恋愛などについて、すごい正直さがぐっとくるのと(早川義夫の文章を読んだときと似ている)、日記なのに展開や構成がドラマティックで、すごい本だった。

池谷裕二『進化しすぎた脳』

進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)

進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)

脳科学者が脳について中高生に講義したのをまとめたもの。
脳が進化しすぎたという話が面白かった。われわれはつい脳が体をコントロールしていると思いがちだけど、実は体が脳を作るという面があって、脳は繋がっている体のスペックによって制限されているところがあるらしい。つまり、腕が四本ある体や足が十本ある体を持ったら、脳はそれに応じて進化するだろう、という感じ。つまり、たまに豊臣秀吉とか虎眼先生みたいに手の指が六本ある人がいるけど、そういう人もちゃんと六本全部動かせてたんだろうな。

ジェシー・べリング『ヒトはなぜ神を信じるのか』

ヒトはなぜ神を信じるのか―信仰する本能

ヒトはなぜ神を信じるのか―信仰する本能

  • 作者: ジェシーベリング,Jesse Bering,鈴木光太郎
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  • 発売日: 2012/08
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なぜヒトは神を信じるのかというのを進化心理学で考えたもの。「ヒトは無意味な現象にも意図や心を読み取る(心の理論)」とか「無意味に何かが起こるより因果応報的な説明をヒトは好む」とか「神は全てを知っているって感じで誰も見てないところでも行動を自制するのが生存的に有利だった」とか。
神が本当にいるかどうかは証明できないけど、本当にいると考えるよりこうした進化的な理由でそういう本能が発達してきたと考えるほうがシンプルだなーと思う。

岸政彦・雨宮まみ『愛と欲望の雑談』

愛と欲望の雑談 (コーヒーと一冊)

愛と欲望の雑談 (コーヒーと一冊)

100ページくらいで読みやすくて楽しい雑談本。
なんとなく本屋で見つけて買ったらその一週間後くらいに雨宮まみさんの訃報を聞いてびっくりした……。もっと生きて先を見せてほしかった。人間はついうっかり死ぬものなんだなと思う。

ロマン優光『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに 』

間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに (コア新書)

間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに (コア新書)

真っ当な意見だなあ、細かいところまでちゃんと見てるなあ、という感想。面白かった。サブカルってみんな斜に構えてるからこんな風に真っ当な感じでわざわざ論じる人がいなくて新鮮でよい。

村田沙耶香『コンビニ人間』

コンビニ人間

コンビニ人間

発達障害的な主人公が面白かったし共感した。


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