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phaの日記

毎日寝て暮らしたい

面白かった本2015



家入一真『我が逃走』

我が逃走

我が逃走

無責任とか言われてネットで炎上することが多い家入さんですが、僕は基本的にダメな人は好きなので結構好きで、その家入さんのダメっぽい話がたくさん集められている本で大変面白かった。
ひきこもりから起業して成功して何十億か何百億というお金を手に入れたけれど、六本木で一晩で何百万も使うような飲み方を続けたり飲食店経営で無謀な出店をしまくったりして、あれよあれよとお金を溶かしてしまう下りは、実際に周りにいた人は大変さもあったと思うけど、無責任に言うと大変面白いですね。
でもそういう無茶なことをしながらもリバ邸やCAMPFIREなどいろいろなものを立ち上げたり都知事選に出馬したりと新しいことをやり続け、絶えず周りに人が集まり続けているというのはさすがだなーと思う。本人の能力とセンスと、あと何より人への優しさとか、「みこし」の才能みたいなのがあるんだろうと思います。多分、家入さんの寂しがり屋なところが人を惹きつけて集めるんじゃないでしょうか。
僕は人が集まったり出会ったりするきっかけになるものは何であろうと良いと考えていて(それが例え途中で失敗したり無くなったりしても別に良い、その後に続いていく人間関係などはあるから)、家入さんはそういう場やきっかけをたくさん作っている人だと思うので素直にとてもいいなと思う。最近は新しくまた会社を作ったりしたみたいで何をやってるのかよく知らないけど今後の展開にも期待したいです。
d.hatena.ne.jp
www.ikedahayato.com

上原善広『被差別の食卓』

被差別の食卓 (新潮新書)

被差別の食卓 (新潮新書)

たまたま著者のブログの本を結構出しているのに全然お金がないという記事を見て、それをきっかけに読んでみたら面白かった本。アメリカ、ブラジル、ロマ、そして日本、世界各地の差別されてきた人たちのそれぞれのソウルフードを巡る旅。被差別という状況の中で工夫されて生み出されてきた料理には美味しそうなものも多くて、人間の歴史と力強さを感じる。知らなかったけどフライドチキンも黒人のソウルフードだったらしい(もともとは鶏の骨ばかりで食べにくいような部分を骨ごと食べられるようなディープフライにしていたものだった)。あぶらかすは大阪とかで最近普通によく見るようになった感じありますね。あれも美味しい。

クマムシ博士の本2冊

クマムシ博士の「最強生物」学講座: 私が愛した生きものたち

クマムシ博士の「最強生物」学講座: 私が愛した生きものたち

クマムシ研究日誌: 地上最強生物に恋して (フィールドの生物学)

クマムシ研究日誌: 地上最強生物に恋して (フィールドの生物学)

超低温や超高温や放射線や乾燥状態にも耐え、カラカラに乾いても水をかけるとまた蘇る不思議な虫、クマムシを研究するクマムシ博士こと堀川さん( id:horikawad )の本。前者はクマムシを含むいろんな驚きの生物の面白エッセイな感じで、後者はクマムシの研究に関する詳細な紹介とクマムシ博士の研究者としての半生記(NASAに行ったりパリに行ったり日本に戻ってきたり)みたいな感じです。
研究者というのは職を見つけるのがとても大変な状況らしく、さらに少子化で大学も減るからこれからますます大変になりそうで、クマムシ博士も現在は大学にポストはあるものの無給らしい。そこでブログをやったりメルマガを発行したりクマムシグッズを開発したりして研究資金を集めているらしいんだけど、これからはそういうのが必要になっていく時代なのかもしれないと思う。今は作家とかミュージシャンも昔に比べると食えなくなって、イベントをこまめにやったりネットでうまくセルフプロデュースしたりしないとやっていけないとか言ったりするけれど、研究者もそういうものになっていくんじゃないだろうか。
特に予算を削られていきそうな人文系とか…。
クマムシ博士とはこないだ対談をしたのでしばらくしたらネットに載ると思います。

3710920269.hatenablog.jp

長谷川眞理子『生き物をめぐる4つの「なぜ」』

生き物をめぐる4つの「なぜ」 (集英社新書)

生き物をめぐる4つの「なぜ」 (集英社新書)

進化論の入門書的な本だけど、いろいろな動物の具体例が豊富で読みやすい。ホタルの複雑な発光パターン、渡り鳥はどうやって何千キロもの旅をするのか、サイやシカのツノはどうしてできるのか。単に面白い動物の生態集として読んでも楽しめるし、それらのユニークな生態が、突然変異と自然淘汰という進化論の原理で長い時間をかけて自然に生まれてきた、みたいなところもすごく面白い。

斎藤環ほか『母と娘はなぜこじれるのか』

母と娘はなぜこじれるのか

母と娘はなぜこじれるのか

  • 作者: 田房永子,角田光代,萩尾望都,信田さよ子,水無田気流,斎藤環
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2014/02/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (5件) を見る

母娘問題をテーマにした対談集。一番面白かったのは信田さよ子さんとの対談で「精神分析的には男は身体を持たない(普段自分の身体をほとんど意識しない)」という話だった。僕も確かにそうかも……見た目とか食べる物とか普段無頓着だし。
その対極として、女性は身体性を持っている。そして母と娘は身体性のレベルで繋がっているという感じを抱きやすい。信田さんが言うには、男に息子がいたとしても自分の精子と息子の精子が繋がってるようなイメージは全く持たないけれど、女性の場合は自分の子宮と娘の子宮が繋がっているような体感があるらしい……。だから母と娘はお互いに自己同一化してしまってこじれやすい、という話が「そうなのか……それは全く想像できなかった」という感じで興味深かった。

東浩紀『弱いつながり』

弱いつながり 検索ワードを探す旅

弱いつながり 検索ワードを探す旅

サブタイトルが「検索ワードを探す旅」なんだけど、何でもググれば知ることができる今の世界で、何を自分自身の生きる根拠としていけばいいのかみたいな話で面白かった。文章も他の東さんの本に比べてとても平易で一般向けで読みやすい感じ(他の本もそんなに読みにくいわけじゃないけど)。
今は何でもググればわかるけど、無数にフラットに並んだ情報の中で何を検索すればいいかというのはパソコンに向かってるだけでは動機づけられない。実際に足を運ぶこと、その場の空気を感じることみたいなのが大事で、いろんな場所で「観光客」として実際訪れることを勧めている。計算では辿りつけない偶然とかノイズとかその場のノリとかをどう人生に組み込んでいくかみたいなことは僕もよく考えているので共感した。

河口俊彦『大山康晴の晩節』、松本博文『ドキュメント コンピュータ将棋』

大山康晴の晩節 (ちくま文庫)

大山康晴の晩節 (ちくま文庫)

ドキュメント コンピュータ将棋 天才たちが紡ぐドラマ (角川新書)

ドキュメント コンピュータ将棋 天才たちが紡ぐドラマ (角川新書)

『大山康晴の晩節』は昭和の将棋界の巨人、大山康晴の生涯を描いたもの。僕は昔からの将棋ファンではないので、マンガ「月下の棋士」でしか知らなかったような昭和の濃い将棋界の雰囲気が知れる感じで面白かった。昔の棋士というのは無頼というか、飲む打つ買うは芸の肥やしみたいな感じの人も結構いて、勝つには研究や勉強より人間力が重要みたいな感じもあったりして。大山康晴の勝負師としての執念とか凄みも凄いと思った。
その後の将棋界は、羽生世代の台頭で無頼派的なイメージは減って、棋士は勉強とか研究をしっかりして公文とかやってる頭いい人たちみたいな感じになった。そしてさらに今はコンピュータ将棋が人間に匹敵する感じになって状況はどんどん変わりつつあるのだけど。『ドキュメント コンピュータ将棋』は2015年の第四回電王戦に関するルポで最新の緊迫した状況が知れて面白かった。

カタログハウス編『大正時代の身の上相談』

大正時代の身の上相談 (ちくま文庫)

大正時代の身の上相談 (ちくま文庫)

大正時代の新聞の身の上相談を集めたもの。パラパラとしか読んでないんだけど、進路の悩みとか人生の虚しさみたいな現代の我々と変わらないような悩みがあるのと、それとは対照的に「妻が処女じゃなかった許せない、だから俺は妾を持つ」とか怒る夫に「あなたの怒りはもっともです」と答えるような時代を感じるものも両方あるのが面白かった。

勝間和代『無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法』

無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法

無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法

勝間和代氏、一時期すごく流行ってた頃は「なんかお金を稼ぐこととかウィンウィンとかばっかり言っていて怖いなー」というイメージだったけど、最近ネットでゲームの話とか麻雀の話とかをしてるのを見ると「この人はただの凝り性のオタクなのでは…」という感じで興味が出てきて、今さら本を読んでみたら結構面白かった。
この本も年収10倍アップという目標は付いているけれど、そういう前書きを飛ばすと「この人は勉強法をちまちま追求するのが好きなオタクなんだな…」というのが感じられて、僕も勉強法とか情報整理術とか考えるのが好きなので面白かった。もう8年前の本なのでIT系の情報は古いところがあるけど。

本田由紀『多元化する「能力」と日本社会』

多元化する「能力」と日本社会 ―ハイパー・メリトクラシー化のなかで  日本の〈現代〉13

多元化する「能力」と日本社会 ―ハイパー・メリトクラシー化のなかで 日本の〈現代〉13

メリトクラシーというのは「能力主義」というか、試験を頑張って能力がある人が上に行ける社会、みたいな意味。家柄とかで身分が決まっていた昔の封建的社会と比べて使われる。
そしてこの本で言う「ハイパー・メリトクラシー化する社会」というのは、単に勉強ができるだけではだめで、もっと人間力のようなものが優れていないと評価されないという社会のことだ。確かに最近の就活のしんどさとかってそういうところな気がする。明るくハキハキとしていてコミュ力がないとだめみたいな(キツい……)。
そうした圧力に対抗する手段として「スキル」を身につけることを著者はすすめている。いわゆる「手に職」というやつで、例えば「プログラマは多少コミュ障でもなんとかなる」みたいな話だろう。そして、「スキル」は自分を守ってくれるし、「スキル」を学んで活用して人と関わっていったり同じ「スキル」を持った仲間ができたりしていくうちに、そのうち社会性とかコミュ力も少しずつ付いてくるものだ、というのも確かにそうだなーと思う。

追記(2016/12/23)

2015年の後半の面白かった本を書くのを忘れてたので、ここにとりあえず貼っておきます。

理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ

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満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦 (角川新書)

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僕がこないだ出した『持たない幸福論』は僕が読書からいろんなものを学んで人生に反映させているみたいな話の集大成的なところがあるので、本の中でできるだけいろんな本の紹介をしています。よかったらそちらも見てみてください。本の中で取り上げている本のリストは、下のcakesの記事に載っているのでどうぞ。

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