今年読んで面白かった本を書きとめておきます。今年もたくさん面白い本が読めて幸せだった。
中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史 (文春文庫)
- 作者: 與那覇潤
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/04/10
- メディア: 文庫
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與那覇潤「中国化する日本」は今年一番面白かった本かも。「中国資本に日本が侵略される」みたいな話では全くなくて、1200年前からの日本の歴史を「中国化」と「江戸時代化」というキーワードでたどる本。
- 中国化=身分や土地などの縛りがない自由競争。競争に負けた奴は特に保護しない。その代わりセーフティーネットとして宗族(親族)での助け合いが強い。そうしたシステムは1200年前の宋の時代に成立して今までずっと続いている。
- 江戸時代化=イエとかムラとか定められた場所で大人しく上に従っているなら最低限食わしてくれるけど、あまし自由はない。場所から外れた空気の読めない奴のことは知らん、みたいな感じ。
という二つのベクトルのせめぎあいとしてさまざまな日本のできことを説明している。
言われてみると確かにそうだなーと思う。だから日本人はお上をわりと信用してるけど中国人は全然信用してなさそうなんだな、とか。
この話は現在の状況にも続いていて、ここ20年くらいの日本では江戸時代的な枠組みがもはや通用しなくなって中国化(自由競争化)しつつあるから、今まで以外の生き方を探していく必要があるんじゃないか、というところに繋がる。でもなんだかんだ言っても日本人は江戸時代的な不自由さが好きなんだよね……とか。増補版の巻末に付いていた宇野常寛さんとの対談もそうした現代の状況に関する話がされていて面白かった。
あと、国とか思想とかについて考えるときに、西洋的な人権とか民主主義とか普通選挙とか、そういうのをベースにしなくても考えられるというのが新鮮だった(中国はそういうのと別のルートで普通に栄えている)。
社会を結びなおす――教育・仕事・家族の連携へ (岩波ブックレット)
- 作者: 本田由紀
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/06/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今の日本の閉塞状況は、高度成長期に作られた「会社」「家族」「教育」の3つのシステムが余りにもうまく出来過ぎてハマり過ぎてしまったため、それが時代遅れになりつつある今も新しいメソッドとか生き方を見出せずにいるから、みたいな状況説明を簡潔にまとめた本。50ページくらいの薄いブックレットなので読みやすいです。
- 作者: 宮本常一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1984/05/16
- メディア: 文庫
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- 作者: 宮本常一
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/07/05
- メディア: 文庫
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昔の日本人がどんな風に暮らしていたかという本。民俗学とかよく知らなくて柳田國男と宮本常一も同じようなものだろうとか思ってたけど、柳田國男は官僚とか学者っぽいけど宮本常一はもっと土の臭いがするというか庶民的な感じで日本中を歩きまわってた人なんだな。「忘れられた日本人」に入ってる昔の普通の庶民の色事の話とかすごい面白い。
- 作者: 長谷川寿一,長谷川真理子
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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『進化と人間行動』、シロクマ先生が勧めていたので読んでみたけど面白かった。進化心理学とかの話で大学の教科書的な本。個体同士の助け合いや性的活動の仕組みが数十万年の進化のプロセスで練り上げられていくのにグッとくる。個別の動物や人間の奇妙な生態の事例とかも面白い。こういう話好きなんだけど今まで真木悠介『自我の起原』くらいしか読んでなかったので基礎的な勉強になった。
- 作者: 宮元啓一
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2001/12
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仏教いろいろありすぎてわけわからんというのが前から気になってたので手にとった本。原始仏教はすごくシンプルなのに、そこから派生した大乗とか禅とか唯識とか密教とか多様で違いすぎるのが全部仏教という枠の中に入ってて何がどうなってるんだ、如来とか菩薩とか弥勒とか仏っぽい人(人?)いっぱいいるけど誰が誰なんだ、と謎だったんだけど、この本で繋がりと歴史が少し把握できた。
- 作者: 中村元,田辺祥二,大村次郷
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 1998/07
- メディア: 単行本
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原始仏教の本。ゴータマ・ブッダ本人はどういうことを言ってたどういう人なのかっていうのがわかりやすい。原始仏教ってあんまり宗教ぽさがなくて、ひたすら「物の見方をこうしなさい」みたいな感じでわかりやすくて好きだなー、と思う。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/05/30
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- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2008/03/25
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森見登美彦『太陽の塔』、京都の百万遍界隈で若いダメな人がコンプレックスとか恋情とかをこじらせてるような小説はあまりに自分の学生生活と近すぎて痛そうだから躊躇して遠ざけていたんだけど、そろそろ読んでもいいかと今年になって『四畳半神話大系』と一緒に読んだらやっぱり面白かった。
2003年に森見登美彦がデビューした頃はまだ僕は京都の百万遍界隈で学生をやっていて「そんな話近すぎて読む気せえへんわ、身の回りで間に合ってるわ」とか思ってたんだけど、10年ぐらい寝かせてようやくそういうのを客観的に楽しめる感じになってきたなー。
- 作者: 湯浅誠
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/04/22
- メディア: 新書
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- 作者: 湯浅誠
- 出版社/メーカー: 人文社会科学書流通センター
- 発売日: 2009/10
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湯浅誠さん、年越し派遣村とかで名前は前から知っていたけどあまり詳しく知らなかったんだけど、あるところでたまたまちょっとだけ会話する機会があって、その時に、あー、すごいしっかりしてていい感じの人だなー、と思って興味を持って本を読んだ。こういう頭も回って説明もうまくて話も通じて志もある人で貧困問題に向き合っているという人が日本にいてくれてよかったと思った。遅い。そういえば元切込隊長との対談とかも面白かったし(ネトウヨは、卒業することを知らない | 真のリベラルを探して | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト)、すごく話が通じる感がある。
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/02/07
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- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/02/07
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「新しき村」みたいなコミューンの末裔の話。
- 作者: 小熊英二,古市憲寿,高原基彰,上野千鶴子,小川有美,酒井啓子,篠田徹,湯浅誠,保坂展人,東浩紀,菅原琢,韓東賢,木村草太
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2014/10/08
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- 作者: 小熊英二
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2005/07
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対談集。小並感だけどしっかりと話していて読み応えがあった。
- 作者: 中島岳志
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/08/07
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生きるのがしんどい人が多い社会で意識が高い普通の若者がテロに走ってしまう様子が説得力を持って書かれていた。
- 作者: 北原みのり
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/10/16
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- 作者: 上野千鶴子,信田さよ子,北原みのり
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2013/10/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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木嶋佳苗って何なのか全然わからなくてモンスターだなという感想しか持てなかったんだけど、本を読んだらこれはある種の何かの象徴というか極端な例で全く自分たちの世界と切り離されたものではないなと思った。
- 作者: ヴィクトール・E・フランクル,池田香代子
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2002/11/06
- メディア: 単行本
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圧倒的な本だった。
- 作者: アーサー・C・クラーク,酒井昭伸
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/09/05
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いい話だった。
- 作者: 近藤麻理恵
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2010/12/27
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ときめきを大事にして生きていきたい。