phaの日記

パーティーは終わった

西尾維新『きみとぼくの壊れた世界』ISBN:4061823426



きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)
 読了。面白かった。ミステリとして細かく見ればつっこみどころがいろいろありそうだけど最初から西尾維新にミステリとしての楽しみをそれほど期待していないので気にならない(そういや最近緻密な論理を構築するようなミステリを読む気が全くなくなってしまった。もっぱら通勤電車で読書をしているからそうなるだけで部屋で読んでたら違うのかもしれないが)。西尾維新の魅力はミステリ的要素ではないのだから謎とか探偵とか殺人事件とか出てこなくても西尾維新の小説は面白いのではないかと思うのだが、それでも西尾維新がミステリという形式をふまえた小説を書き続けるのはなんでなんだろう。西尾維新がそんなにミステリにこだわりがありそうに見えないのにミステリの枠をきちんと守る様子はミステリにこだわるあまりにミステリの枠をはみだしていくアンチミステリと好対照だ。ミステリという枠がないと西尾維新の小説は成立しないのだろうか。枠を外したらどうなるのだろう。(ただミステリというジャンルにひっかかるようにしといたほうが売れるから、なのか)
 自分が世界で一番クレバーだと思っている癖に自分に自信がなくて傷つきたくなくて全てに対して無関心を装う相変わらずな主人公があれこれとうだうだと思い悩んで開き直ったりするのを読むのがとても心地よい。文章のリズムも好きだしキャラクターを作るのも上手いし、やっぱり西尾維新はすごいなあと思う。エンディングの壊れっぷりがとてもよいですね。