この週末はカンチャナブリに行ってきました。カンチャナブリはバンコクから西に130キロほど行った場所で、「戦場にかける橋」という映画の舞台として有名です。
朝6時に起きてタクシーで川向こうのトンブリ駅へ(100B)。電車のチケットを100Bで買って7:35発の列車に乗り込んだ。乗客はタイ人の他に、バックパッカーの白人も結構いた。郊外に遊びにいくタイ人の若者も多かった。
電車で隣に座ったタイ人の家族と、つたないタイ語でお喋りをした。40代のお父さんとお母さんと4歳の男の子の3人。カンチャナブリの近くに家があるのだけど一時的にバンコクに出稼ぎに来ていて(トゥクトゥクの運転手をやってたらしい)、今回は子供を学校に入れるために帰るらしい。
お父さんは「バンコクは疲れる。バンコクの生活は時間がない。みんなお金のことばかり考えている。何をするにもお金がいる。田舎はいいよ。あなたがどこの家に行ってもごはんを食べさせてくれるよ。もちろんお金はいらない」ということを言っていた。そういえばタイの田舎は人情が厚いという、そんな話はよく聞く。へー、本当かなー、と思いながら聞いているとお父さんが「よかったら私の家に泊まりに来ますか。もちろんお金はいらない」と言った。ちょっと迷ったけれど、以前から田舎暮らしに憧れていたし、思い切って泊めてもらうことにした。
バンコクからカンチャナブリ駅までは電車で約3時間、そしてカンチャナブリから更に電車で数十分行った小さな駅で降りて、そこからバイクで20分くらいのところに家はあった。小さくてシンプルで、はっきりとした壁がないようなオープンな感じの家だけど、こざっぱりとしていて居心地がよかった。電気は来ていてテレビ、冷蔵庫、VCDプレイヤーがあった。多分水道はない(トイレは汲み置きの水で流す水洗のものだったけど、あれは下水はどうなってるんだろう?)。庭は広くて、犬や猫や鶏がそのへんで遊んでいる。風通しのよい縁側に座って庭の動物なんかを眺めているととてもサバイサバーイだった。バンコクと違ってとても静かだ。いいなー、俺こういう生活をずっとしたかったんだよね。
タイではよく鶏を放し飼いにしているのを見かける。鶏って飼ったことないけど、ほっとけば適当にそのへんの草とか食べて勝手に大きくなって子供を産んで増えていって、しかもほっといても家の周りでうろうろ遊んでるだけで逃げないもんなのかな。すごい便利じゃない? あと、家の側にパパイヤとかバナナとかココナッツとかいろいろ勝手に生えてるので、果物は買わなくてもいい。食べ物は非常に充実している。
お父さんは家の側にある程度土地を持ってて、そこではパイナップルを作ったり牛を飼ったりしてるらしい。が、そんなにお金にはならないようだ。パイナップルは1キロ3バーツで卸しているとか。
お父さんは「私はあんまりお金は持ってないけど、ここに住んでいるとあまりお金を使う必要がない。でも、テレビを買ったり、バイクのガソリンを買ったり、子供を学校に行かせたりするのにはお金がいる。だからバンコクに働きにいく。でもバンコクは忙しいのであまり好きじゃない」と言っていた。
僕もこういう暮らしをしたいけれど、こういう暮らしは精神的とか食生活的には豊かだけれど、貨幣経済的には貧乏ということになってしまうんだよな。飛行機に乗って外国に行ったりとかは絶対できなくなってしまう。難しいよな。
お父さんは本当に親切で、日本軍が作った鉄道とかエレファントファームとかいろんなところに遊びにつれていってくれたり、ごはんを奢ってくれたり、お菓子を買ってくれたりした。なんで見知らぬ人にこんなに親切なんだろうと思ったけど、これが田舎というものなのか。田舎ヤバい。俺が都会で育ったせいで知らないだけで、日本の田舎もひょっとしてそうなんだろうか。
昼間はいろんなところに遊びにいって、夕方には川で水浴びをして、晩ご飯を食べた。多分僕のためにごちそうを用意してくれたんだと思うけど、おかずがたくさんあって、どれもとても美味しかった。カンチャナブリは海からは遠い場所だけど、エビとイカのサラダなんかもあった(週末市場で売っててそんなに高くないって言ってたけど)。
晩ごはんのあとはちょっとテレビを見て、子供と遊んで、夜9時くらいに寝た。蚊帳を吊って寝た。このあたりはバンコクよりもかなり涼しく、夜はちょっと寒いくらいだった。
次の日は6時半くらいに起きて、お父さんに観光地で有名な近くの滝まで連れて行ってもらって(タイ人はなぜか滝が好きだ)、そんでバスに乗って帰ってきた。バンコクに着いてから「無事帰ったよ、本当にありがとう」って電話した。
田舎暮らしいいなあ。やっぱ人生で一度は田舎暮らしせんといかんな。