phaの日記

パーティーは終わった

青春18きっぷでだらだら旅をするのが好きだ



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青春18きっぷで長い時間をかけてゆっくりだらだらと移動する旅が好きだ。

大人になってショックを受けたのは「18きっぷで旅行した」という話をすると、「何それ?」と言われたり、「いい年してそんなの使うのは違反でしょ」とか言われたりしたことだ。僕は学生の頃から格安旅行に必須の手段として常用していたし(関西に住んでいたので東京に来るときは大体18きっぷか夜行バスを使っていた)、自分の知り合いもみんな普通に使っていたので、一般常識なものだとばかり思っていた……。
青春18きっぷ」はJRが毎年春・夏・冬の期間限定(ちょうど学生の春休み・夏休み・冬休みの期間)で出している、JRの電車が普通列車ならどこでも1日乗り放題になるという夢のような切符だ。

「青春」「18」という名前が付いているけど、別に若者じゃなくても中年でも老人でも誰でも使える。値段は5枚セットで11,850円(2015年現在)だ。つまりこれを使うと1回分たった2370円で、一日で移動できる範囲ならどこまででも行けるというわけだ。始発から終電まで乗り続ければ東京から多分山口県くらいまで一回分で行ける。体力的にかなりキツいけれど。

5枚セットじゃないと買えないので2回や3回だけしか使わない人には割高だと思うかもしれないけど、余った分は金券ショップで1回分1500〜2000円くらいで買い取ってくれる。店頭に「18きっぷあります」とか書いてあって18きっぷの取り扱いに慣れている金券ショップのほうが高く買い取ってくれやすい気がする。18きっぷは未使用で5回分が揃っているものよりも、残り1回とか2回とかのもののほうが使いやすくて価値がある。




もちろん普通列車の旅だと移動に時間がかかる。東京から大阪まで新幹線だと2時間半くらいで着くけど、普通列車だと8時間くらいかかる。

でも僕は旅の中で移動中が一番楽しいというか、目的地に早く着いちゃうともったいないような感じがあって、移動が長いのはあまり苦にならない。

電車やバスでの長距離移動中というのは頭を使わずぼーっとするのに最適な時間だと思う。

日常生活の中で何もせずぼーっとするのって意外と難しい。家にいるとつい家事をやんなきゃとか考えてしまったり、テレビやネットを見続けてしまったりする。

それは「何も考えない」というのが難しいのと似ている。「何も考えないでおこう!」と思っても心を空っぽにするのは難しくて、「何も考えない」ということ自体を延々と考えてしまったりする。
だから瞑想なんかでは、心の中に一つの点をイメージしてそこにひたすら意識を集中するとか、体をものすごく遅いスピードで動かしてその体の感覚自体に意識を集中することで心の中をクリアにする、というような技法がある。

そういうのと同じで、乗り物で移動しているときは、車窓を流れる景色をぼーっと見ているだけでなんとなく気が紛れる。移動をしているということで何か時間を無駄にしていないような気になって、心が穏やかでいられる。

移動中はぼーっとしていてもいいし、何か考えごとをするのにもいいし、本を読んだり音楽を聴いたりするのもゆっくりと集中できる。

移動に時間がかかったほうが遠く離れた場所に行くんだということを体で実感できて好きだというのもある。

鈍行列車での移動は景色をゆっくり見れるのがいい。飛行機や新幹線だと速すぎて景色を楽しめない。
18きっぷで何時間も電車に乗って旅をするたびに「あー、日本ってこんな広い国だったんだな……」と実感する。普段都会に住んでると意識しないけど、日本はほんと山と海と田んぼばっかりの国だ。電車で少しずつ土地を移動していくにつれて、人の話す言葉や服装やうどんの味付けなどが少しずつ変わっていくのを観察するのも好きだ。

だから新幹線や飛行機を使って途中の土地をすっ飛ばしてワープするみたいな感じで目的地に着くよりも、18きっぷで時間をかけて辿り着くほうが自分の中で贅沢な旅だという気持ちがある。




でもまあ、何時間もずっと電車に乗っていると飽きてくるのも確かだ。座りっぱなしだとお尻も痛くなってくる。だから、僕が一番好きなのは18きっぷでときどき途中下車をしながらする旅だ。

ぼんやりと風景を眺めながら、イヤフォンで音楽を聴きながら一時間くらい電車に乗って、ちょっと飽きてきたら適当な駅で降りてごはんを食べて、駅の近くの本屋で本を買って電車の中で本を読んで、飽きてきたらまた適当な駅で降りて喫茶店でコーヒーを飲んだりする、というのを延々と繰り返す旅がすごく好きだ。温泉のある町だと駅前に無料の足湯があったりするのでそういうので休憩するのも良い。

特に用もなく今まで降りたことがない駅で降りてみるのも好きだ。駅前の様子を観察して、「この県庁所在地はこれくらい発展しているのか……大きな本屋とかデパートとか一通りあるし住んでも不自由しなさそうだな……」とか、「この駅は複数の路線の乗り換え駅なのに駅前に喫茶店の一つもないのか……次の電車まで一時間半もあるのに厳しい……」とかそういうことを考えるのが楽しい。いろんな町を見てその町でたくさんの人がさまざまな生活をしているんだなというのを想像するのが好きなのだと思う。

そんな風に電車に乗ったり降りたりしながら移動しているとだんだん日が傾いてきて、そろそろ今晩の宿はどうしようかということを考え始める。宿を探すにはある程度大きな町に行く必要がある。安く一泊できるネットカフェやサウナやカプセルホテルはある程度以上の繁華街にしかない。安いビジネスホテルもある程度以上の市街地にしかない。電車の中でスマートフォンを使って地図や路線図やホテル予約アプリを見て、夜を過ごすための大きな町の見当を付ける。無事に宿を確保できるとほっとする。よく知らない街の安っぽい寝床で眠る瞬間が一番「旅だなー」って気分になる。

今年の夏の青春18きっぷの利用期間は例年と同じく7月20日〜9月10日までのようです。よかったら使ってみてください。僕も多分使うと思う。

青春18きっぷで楽しむおとなの鉄道旅行 (だいわ文庫)

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青春18きっぷパーフェクトガイド2015-2016 (イカロス・ムック)

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