phaの日記

毎日寝て暮らしたい

町田康『告白』

告白

告白

 町田康は「きれぎれ」から後は読んでなかったんだけど、ミコトが大傑作って言ってたから読んでみたらすげえ面白かった。町田康進化してるな。
 安政四年(幕末)、河内の国の農村に生まれたはいいけどうまく生きていけずにやくざもんになってしまい、のちのち河内音頭で歌われるようになった城戸熊太郎の一生の話。熊太郎は子供の頃からなんで自分は周りのみんなと違って誰もわかってくれないようないろいろややこしいこと考えてしまうんやろ?ということに悩んでいて、それにとても共感してしまいヤバい。
 みんなは「あいつムカつくよな」と言うとき頭の中でも「あいつムカつく」って思っていて「ありがとう」って言ってるときは素直に感謝しているだけで、思ってることと言ってることが一致してるのに、何故俺は「ムカつくといえばムカつくかもしらんけど俺が悪いんかもしらんけどそこまで考慮するのもおかしい気もせんでもない」とかうまく言葉で表現できないようなややこしいことばっかり頭の中で考えてしまうのか。思ってることと言うことを一致させることができない。そのせいで周りの人とうまくコミュニケーションできず、熊太郎は孤独に陥り人生を失敗していき、ついには人を殺すところまでいってしまう。という悲劇が河内弁プラス町田康の文体で語られるので、テンポよく読めてときどき噴き出してしまう。でも悲惨な物語。
 俺も例えば喫茶店で何か注文する際に「あ、何頼も。注文取りにきはった。はよ決めな。熱いのんと冷たいのんとどっち? 外暑かったから冷たいのん飲みたいけど、でもこんな喉かわいてるときに冷たいのん一気に飲んだらすぐなくなってもうて後で時間潰すのに水ばっかり飲まなあかんようになってさみしくなるかも。暑いときには熱いもんを飲むのがええんや。って誰かがゆうてた。美味しんぼでもゆうてた。じゃあ熱いの? でも俺は冷たいのが飲みたい気がする。冷たいのが飲みたいのに熱いの頼んだらやっぱり俺何してんねやろおいう気分になってしまうんじゃないか。でもそれは反射的な欲求でほんまは熱いものをカラダは欲してるんかもしらん、俺の欲求はあんまり信用できひんし。でもそんなんゆうたらキリない。カフェイン入ってるのと入ってないのとどっち? カフェイン入ると最近いらいらするからよくないような気がせんでもないねんけど気のせいというレベルの範疇の問題かもしらんし適度な刺激物が今の頭の中わけわからん状態に何かよい効果をもたらすということも考えられなくもないけど最近胃腸の調子もよくない気がするし、ああもう何をしたらいいかよくわからん!」とか考えててもそんなん口に出しても相手は困るだけだから結局口から出るのは「アイスコーヒー」の一言だけなわけで、こんな思考ばっかり頭の中で回ってて何も決められなくて困る。旅行とかしてても今日はどの場所に移動するのかそれとも今の場所にとどまるのかなんかを考えてるうちに一日が終わってしまったりする。考えすぎていつも失敗する(特に調子のよい春・秋以外の季節は)。
 これから俺はこういう思考のループにはまるたびに城戸熊太郎のことを思い出すのかもしれない。
 ここから抜け出すにはどうしたらいいんだろう。感覚で判断すればいい? 自分の感覚が信用できひんねんな。このへんを克服したい。

  • そもそも選択というのは合理的なレベルで決定できるものではないのか?
  • 「なんで俺は(周りの人たちと違って)こんなに思弁的なんだろう?」という悩みは、結局何なんだ? 思弁的な者同士ならうまくいくのか?

 こんなに頭の中をぐるぐるしていて結構いつも苦しんでいるのです。行動としては何もしてないように見えても。というのをわかってくれたらうれしいなー、と書いておいてみる。
 そもそもこんなにネットで文章書いてるのも言ってることと考えてることをうまく一致させられへん苦しみからきてるんやと思う。こんなに→
「えとえと、ちゃうねん。なんかうまく口ではゆわれへんかったけど、ちょっと理路が入り組んでるし条件分けもややこしいだけでな、そんなにわけわからん突飛なことではないと思うねん。俺の考え。ちょっと文章で説明してみるからな、暇なときでいいから読んでくれへん。ちょっと長なるけどな、


(中略)


わかった? わかってくれた? ほんま? よかったー、うれしいわあ。口で説明すんの下手やけどな、なんも考えてないわけちゃうねんで。こうやって文章で書いたら結構わかりやすいやろ? そんなにわけがわからんことちゃうやろ、俺の考え。やろ? な? よかったー。面白い? あー、むっちゃうれしい。じゃあ俺もっと書くわ。口で言うのは下手やけどな。書いたらそこそこ伝わるみたいやし、わかりやすい、って言われることもあるねん。またなんか考えてること書くから読んでな」
 というのがこの場所に文章を書く原動力になってます、俺は。考えてることを口で説明するのが上手だったらこんなに文章書いてないだろうし、本もあまり読まなかっただろうな。