phaの日記

パーティーは終わった

「もうだめだ」と「もうちょっとだけ頑張ろう」の繰り返し



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11月6日に下北沢B&Bで開催した、

pha×大原扁理×鶴見済
「それぞれの生きづらさの脱出法」
『持たない幸福論』(幻冬舎)
『20代で隠居 週休5日の快適生活』(K&Bパブリッシャーズ)刊行記念イベント

bookandbeer.com

ですが、50人くらいの人が来てくださり満員御礼な感じでした。来ていただいた皆さん、ありがとうございました。
以下はイベントで話したことの一部です。

僕と大原くんはどちらも「お金がそんなになくてもいいからのんびりと暮らしたい」という感じのことを言っているのだけど、似ているところがありつつも違うところも多いというのが面白かった。
具体的には、大原くんは朝型の生活で玄米菜食で一人で静かに暮らしてるけど、僕は夜型でジャンクフードが結構好きでシェアハウスで周りになんとなく人がいるのが良いとか。
まあそういうライフスタイルっていろんなモデルケースや選択肢があると良いと思う。それぞれの人の性格によって向いている生活は違うものだし。
例えば山奥で集まって暮らしている山奥ニートなんて人たちもいる。
www.agara.co.jp

最近読み始めた毎年寝太郎こと高村友也さんの新刊は、幼少期から僕なんかよりもすごく思索が深くて、そういう人が死や世界や人生について考え尽くした結果、世捨て人のような小屋暮らしに辿り着いたというのが納得できるような本だった(まだ最後まで読んでないけど)。

僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って (DOBOOKS)

僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って (DOBOOKS)



まあ、僕としてはあんまり働きたくないけれど、全く働かないのもそれはそれで大変だし、がんばったりがんばらなかったりをうまく循環しながら回していけるのが良いと思っている。冒頭の図のように。
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人生って大体こういう繰り返しじゃないだろうか。人生の4分の3は「疲れた」とか「もうだめだ」って思ってたとしても、4分の1くらいは「ちょっとがんばってみよう」って思えるときがあるものだ。それくらいのバランスでいいんじゃないかと思う。


僕の一冊目の本『ニートの歩き方』は、かなり鶴見済さんを意識した本だった。僕が本を書くのなら、僕自身が10代後半の頃に鶴見さんの『完全自殺マニュアル』『人格改造マニュアル』『檻の中のダンス』などを読んで、「イザとなったら死んじゃえばいいし好きなことをやれ! 社会に殺されるな!」とか「生産的なことをせずひたすら惰眠を貪るのは素晴らしい!」とかいうメッセージで頭をガツンとやられたように感じた、そういうような本を書きたいと思って書いたのが『ニートの歩き方』だった。

だから僕としては、昔の自分みたいな自意識をこじらせてて理屈っぽくてめんどくさくて暗くてうっとうしい若い男に向けて書いたつもりだったんだけど、本を出してみると、意外と上の年代の人や女性にも読んでもらえた。

それならと、若い男やニートに対象を限定せず、もっと広い層に向けて「もっとラクに自由に生きるにはどうすればいいか?」というのを考えてみよう、というのが2冊めの『持たない幸福論』だった。

この本では「仕事」「家族」「お金」という3つの問題についてそれぞれ1章ずつ割いて考えている。「仕事」も「家族」も「お金」も、生きていくには避けて通れないものだし、それぞれうまく付き合っていければとても良いものだ。
だけど、それらは人間を支えてくれるもののはずなのに、ときどき人間を追い詰めたりすることがある。「仕事」「家族」「お金」にうまく適応できない人間というのは絶対に一定数出てくる。そういう「普通」から外れたときにどう生きていけばいいか、ということについて、『持たない幸福論』では自分の考えていることを十分に書き切ったと思う。

働くことも素晴らしいし、働かないことも素晴らしい。それは両方必要なもので、バランスが大事なのだけど、今の社会はちょっと働く方へのプレッシャーが強すぎるのではないか、ということを思って、物を書いたりしている。大事なのは両方の状態を行ったり来たりできることだ。

「もうだめだ」と思ったらしばらく休んで、休むのに飽きてきたら「ちょっとだけがんばろう」ってなって、それをうまい具合に繰り返していけたらいいと思う。

20代で隠居 週休5日の快適生活

20代で隠居 週休5日の快適生活

脱資本主義宣言―グローバル経済が蝕む暮らし―

脱資本主義宣言―グローバル経済が蝕む暮らし―


追記:
辛酸なめ子さんの日記でイベントの様子が取り上げられていました。
www.gentosha.jp