phaの日記

パーティーは終わった

タイの王様



 毎週月曜日には、タイの街は黄色でいっぱいになる。みんな、王様の紋章が入った黄色いシャツ*1を着ているからだ。タイではみんな自分の誕生日が何曜日だったかということを知っていて、それぞれの曜日に色が割り当てられている。それで、今の王様の誕生日は月曜日で、月曜日の色は黄色なのだ。クーデター明けの最初の月曜である今日は、いつもにも増して黄色いシャツの人が多い気がした。街の80%くらいの人が同じシャツを着てるよ。日本では考えられない風景だ。
 みんな本当に王様を敬愛している。「Long Live The King」って書かれたホワイトバンドを黄色くしたようなバンドを手首につけてる人も多いし、王様の紋章の入ったiPod nanoが限定で発売されて、あっという間に売り切れてプレミアがついたりもしている。首都バンコクでさえこんな状況なのだが、地方に行くともっと王様人気はすごいらしい。これ以上に人気があるのってどんなのなんだ。すごいね。
 今回のクーデターについては、「クーデターを支持する」と答えた人が84%だというアンケート結果が出てるけど*2、これは比率的に王様を好きな人と同じくらいな気がする。「王様が好き」だから「クーデターに賛成する」という風に直接繋がっているわけではないけれど、クーデターという非民主主義的な政権決定の仕方がこんなにも平和的に(出来レース的に)執り行われるのは、国民の間にそれだけの一体性があるからだということは言えると思う。それは欧米などとも日本とも違う、タイ独特のものだ。
(日本はちょっと近いものがあるとは思うね、本質的には)
(でもタイの雰囲気は日本の戦前の天皇制よりもうっとうしくないように感じるのは、仏教を根本に据えているせいかな?)(タイでは王様は仏教の守護者みたいな役割もあります)
 あれはクーデターの前だったけど、ある日本人のおっちゃんが、このみんなが黄色い服を着ている状況を批判して「どいつもこいつも同じ服を着ている。この国に民主主義なんてあったもんじゃない。ナチズムだよこれは!」って一席ぶっているのを見たことがある。僕はそれを聞きながら「別にこれでいいんじゃないかな? 今のタイは平和で人も優しいし景気もいいし、別に問題ないんじゃないか。民主主義じゃなくても他の国を侵略したり他の民族を虐殺したりしなければいいんじゃない?」ということを思った。
 でもどうなんだろ。そんなことを思うのは、僕が現在のタイの雰囲気をわりと好きで、王様についても好ましく思っているからかもしれない。そうでない、マイノリティの人にとってはどうなんだろう。例えば王様が嫌いな人とか、少数民族の人とか。それは、居心地が悪いのだろう。うまく想像できないけれど。

(「少数意見の人が少ない」と「少数意見の人が弾圧されている」をちゃんと区別しないといけないかな? 「少数意見の人が少ないけれどきちんと尊重されている」ならば問題ないか。ただ「少数意見の人が少ないと少数意見の人はないがしろにされがちだ」ということは一般的に言えるかもしれない。)

 あと、これも実体験に基づいていない机上の知識だけれど、民主主義でない政治形態の場合、

  1. 政治が暴走しはじめた場合止めにくい(戦争とか)
  2. 指導者の個人的な資質に依存するのでその人がいなくなると不安定になる

 とかよく言うよね。そのへんが、今のタイではたまたまうまく行ってるだけで、うまく回らなくなるとガタガタに崩壊しやすいのかもしれない(本当?)。とくに2。今の王様はかなり良い王様みたいだけど、もう78歳なんだよね。。。Long Live The King。

*1:参照:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/13331

*2:参照:http://www.newsclip.be/news/2006921_006853.html