岡崎の京都国立近代美術館でやってる草間彌生展に行ってきた。以下は感想。
第一印象は、強烈な色使いから意志の強さを感じる、表現したいものがとてもはっきりとしていて、目指しているものにブレがなく力強い。揺さぶられる。というものだったのだけど、その次の瞬間には、なんか変だなー、と思った。何が変なんだろう?と考えてみると、それは多分、僕が最近「芸術と崇高さ」というようなことについて考えていたからで、違和感を感じたのは、ここには崇高さが全く感じられないし、そもそも全く目指してもない、ということだった。これは人間よりも一段高いものを指向するのではなく、人間特有の言葉とかイメージとか物語といったものを全く使わず、感覚を刺激して揺さぶることで、言葉やイメージや物語を解体し、人間を人間よりも一段低いところに引きずり下ろそうとしている、と思った。
草間彌生はこの世界には存在しないものを描き出すのだけど、それはこの世界とは別の世界を作り出したいというのではなく、ただこの世界を裏返したり解体したりすることが目的だろう。草間彌生自身も自分が作り出した世界に住みたいとかそういうことは思っていないんだろうな。力はあると思うけど、そういうところが個人的にはそんなに好みじゃない。嫌いというほどじゃないけど。
なんとなく思い出したのは漫画の「デビルマン」(アニメ版でも映画版でもなく)だった。歪んだフォルム(下手な絵?)だけど作品に引き込む力は力強く、人間の持っている人間以下の面を描き出し、新しい秩序を作るのではなくただ世界を破壊する、というの、似てない?
最近芸術のようなものに触れようという嗜好が出てきてときどき美術館に行きはじめたのだけど、って言ってもまだ11月にデュシャン見に行ってそれからこれに行ったくらいなのだけど、デュシャンとか草間彌生とかじゃなくもっとなんか素直なものが見たいなあ(見なきゃなあ)と思った。