ちきりん著「ゆるく考えよう」を読んだ

今をときめく人気社会派ブロガーのちきりんさん（id:Chikirin）が初の著書を出したということで献本していただきました。ありがとうございます。
ちきりんさんとは以前対談させてもらったこともあるし（http://d.hatena.ne.jp/pha/20100326/1269624270）、ブログもいつも面白いなーと思って読んでいるのでどんな本になっているか楽しみに読んだんだけど、今の日本の社会で生きていて窮屈さや生きづらさを感じている人はみんな読むといいと思った。

僕は普段からよく思うんだけど、日本人はわりとみんな頑張り過ぎで、「一般的にこうするべきだ」みたいな見えないルールに縛られてることが多いんですよね。数十年前なら真面目に学校に行って真面目に就職して真面目に家庭を持っていれば大多数の人は幸せに暮らせていたのかもしれないけど、今は残念ながらそういう時代は終わってしまって何もかも変動しつつあって、会社は潰れるし仕事は見つからないし年金は破綻するしで、価値観も生き方も多様化して社会の中で自分でいろいろ判断しなければならないようになってしまった。

そんな現在では、他の人の言うことをそのまま受け入れるんじゃないくて既存の常識にとらわれずに自分の頭と感性で柔軟に物事を判断しないといけないし、それが「ゆるく考えよう」ということだと思う。

この本の内容のほとんどはブログの文章を元にしたらしいけど、結構書籍用に書きなおされていて、思ったよりもずっと書籍っぽくまとまっていて、元がブログだということをあまり感じなかった。

元々のちきりんさんのブログでは、「おちゃらけ社会派ブロガー」と名乗っているだけあって、普段は時事的な社会問題などもよく取り上げているんだけど、この書籍化に関しては時事ネタとか特定の個人とか会社とかについての文章は収録されてなくて固有名詞がほとんど出てこず、「仕事とは」とか「お金とは」とか「日本とは」とか、一般的な物事について書かれている。でもそういった抽象度の高い大きなものを語っても、ちきりんさんの書くことは生活実感に基づいているというか、バランス感覚が良くて地に足が着いている感じがしますね。固有名詞が出てこない分、本質的だなと思わせる内容が多い。

ちきりんさんは、名前もひらがなで「ちきりん」だし、顔写真もゆるい感じのイラストだし、文章も平易で親しみやすい感じで全体的にゆるふわなイメージを醸し出しているけれど、そのゆるふわの皮の奥にはすごく実際的で合理的で本質的なメッセージが隠されていると感じる。

「人生は早めに諦めよう」とか「目標は低く持とう」とか「人脈作りは無意味」など一見過激な主張が見られるけど、それは無駄に煽るわけではなくて、ちきりんさんが自分で考えて判断した結果だというのが伝わってくるし、その意見に賛成・反対はいろいろあると思うけれど自分の物の考え方について考えるヒントをいろいろ得られる本だと思います。

あと僕が思ったこととしては、ちきりんさんもこの本の中で書いているけれど、海外旅行って大事だと思う。海外に行くことで日本にいると当たり前だと思っていた常識が揺り動かされたり、こだわっていたこととか悩まされていたことがすごくちっぽけなものだと気付かされたりするすることが多いです。僕が４年前に定職に就くのを辞めてフラフラ生きようと思ったのも、バックパッカー的に旅行をしたり1年間バンコクに住んだりして海外のいろんな国の文化に触れることで、日本で当たり前とされていることは単にローカルなルールに過ぎなくて、生き方って本当にいろいろあるんだなあ、別にどんな風に生きてもいいんだなあ、と思った影響が大きいです。

今まで海外に出たことがなくて、今の日本の社会に生きづらさを感じていたり人生に行き詰まりを感じている人は一度海外を旅してみるのをおすすめします。パック旅行じゃなくて自分で行き先を決めてバックパッカーで旅行してみるのがいいと思う。日本ほどシステムやルールが決まりきっていない発展途上国を旅すると、日本の中で通用してたルールや決まりなんて、人間が生きるということにおいて、それほど本質的なことじゃないなー、と思ったりする。今は下手に国内旅行するより海外に行くほうが安かったりするし、日本より物価が安い国に行けばそんなにお金はかからないし。別に外国語とかほとんどできなくてもわりと何とかなるし。タイとかいいですよ。人は親切だしご飯美味しいし。あー、1ヶ月くらいタイの1泊300円くらいの安いゲストハウスに泊まって屋台とかで安くて美味しいタイ飯食べて何もせずにダラダラしたいなー。