俺は煙草を吸う感覚で口琴を弾いてるのかも。つれづれでなんか口さびしいときに口琴を口に当ててびよびよとする。これがもっと一般的な習慣になればいいのに。今だと喫茶店とかで口琴を取り出して弾いていると妙に注目されたり「こいつは演奏を聴いてほしいのか?」とか思われたりしてしまう。そうではなくてこれはただ煙草を吸ってるようなもんなので適当に聞き流してほしいのだけどね。みんなが煙草を吸う感じで口琴を弾けばいいのに。
昨日のダウナーお茶会でそんな話をしてたら、ふたみ氏が、口琴を弾いてるときは何も考えなくて頭をびよびよさせてられるからみんなが煙草をふかす感覚でつれづれに口琴を弾きだしたらそれは幸せな世の中かもしれないけどそしたらみんな働いたりしなくても幸せだからだらだらしている人が増えてそれを疎ましがるまじめな人たちが出てきて喫茶店とかでも禁煙席みたいに「当店での口琴の演奏は御遠慮いただきます」とかいう張り紙が張られたりして口琴は人間をだめにするとか言われて社会から弾圧されていくようなところまで想像した、というようなことを言ったのだが(細部はよく覚えてないので上の記述には俺が勝手に想像した内容も入ってると思う)、実は実際に日本では口琴禁止令が出たことがあるのだ。
日本口琴協会が発行している「口琴ジャーナル vol.6」を開いて確認したところでは次の通り。文政7年(1824年)の秋から江戸の町人の間でびやぼん(口琴の昔の呼び名)が大流行し、翌年の2月に幕府が禁止令を出したそうだ。そして禁令以降も口琴は完全に絶えてしまったわけではなく、明治時代くらいまでは夜店で売っていたりしたこともあるそうだ。
しかし不思議なのは、その江戸時代や明治時代に流行っていた「びやぼん」の現物が現在に全く残っていないこと。どういった形状だとか材質だとかもわかっていない。不思議な話だ。びやぼんが流行っていたという事実は本当なのか?とも思ってしまう。あんまり研究する人もいなくてはっきりしていないのだろう。
禁止されたのってやっぱりみんな頭をびょんびょんさせて働かなくなるからなのかなあ。口琴って楽器の中でも内向きのベクトルが強いよね。誰かに聴かせるためというよりも、自分にしかあんまり聴こえなくて、自分ひとりが楽しんでいればいい感じ。楽曲を作り上げるというよりも、適当に手足をぶらぶらさせるように即興で楽しむ遊び。びょんびょん。